台湾の「38歳」デジタル大臣から見た日本の弱点 「まだ多くを学ぶ必要があるが遅れている点も」
国民がどんどん政府の議論に参加
――蔡英文政権でのデジタル大臣として3年が経過しました。台湾のIT行政や社会はどう変わりましたか。
就任直後、行政院(政府)の公務員たちは「デジタル民主主義」「開かれた政府」という言葉に不安を隠しきれずにいました。ネット上には行政への反対の声や怒りがこもったコメントがあふれていると感じていたためです。そこで私は「国民からの批判のコメントをすべて創造的なエネルギーに転換しましょう」と伝えました。つまり、国民をどんどん政府の議論に参加できるようにしたのです。
その成果には数多くのものがあります。例えば台湾は入山規制をしている山が多いのですが、登山愛好家のために登山の申請を簡単に行えるネットシステムを構築しました。納税申告をスムーズに行えるサービスもあります。人口2400万の台湾で、こうした電子システムを1000万超の人が利用するようになりました。
今、台湾の公務員たちに「開かれた政府の運営は、皆さんにとってプレッシャーですか」と聞けば、「民主主義の一部だから当然だ」と返ってくるようになりました。
――唐さんはITを駆使して政府と国民の間の情報公開を促進させるなど、社会運動家の顔もあります。
私は1993年に初めてインターネットに触れました。そこでは、世界の多くのユーザーが、なぜネットでつながりたがるのかを理解しました。ネットでは誰からも、何も強制されることがない。誰が何を言っても構わない。同時に、誰が何を言っているのかがわかる、透明性が極端に高い世界です。私はこのネットの特性を、一種の政治制度だと認識しました。