「複利を10歳で学ぶ米国」と周回遅れの日本の差 日本人の「マネーリテラシー向上」は急務だ

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日本人のマネーリテラシーは、どの程度なのでしょうか。

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今から15年前の2005年が、「金融教育元年」と言われていたのをご存じでしょうか。当時、「銀行は潰れない」「銀行に預けておけば安心」という神話を信じていた多くの国民にお金の知識を身に付けてもらうべく、日本政府はマネー教育を広めようとしていました。もちろんその裏には、金融市場を活性化する狙いもあったのですが。

しかし、2016年に初めて全国で実施された金融リテラシー調査で、国民のお金に関する理解度が依然として低いことがわかりました。とくに家計管理分野において、クレジットカードに関する正誤問題の正答率は5割を割り込む結果でした。

「緊急時に備えた生活費を確保しているか?」という設問には、「確保している」と回答した人は55%にとどまり、半数近くの人が「備えがない」か「わからない」と答えました。

ファイナンスには3つの種類

お金の学問であるファイナンスには主に3つの種類があります。国の財政を扱う「パブリックファイナンス」、企業の財務を扱う「コーポレートファイナンス」、個人のマネー管理を扱う「パーソナルファイナンス」です。

3つのなかで最も身近なはずなのに、「パーソナルファイナンス」という学問があること自体、日本人にはあまり知られていません。一部の大学生やファイナンシャルプランナーが勉強する学問という位置づけです。

子どものころからパーソナルファイナンスを段階的に学ばせているアメリカ、起業家教育の一環として教えている北欧のように、すでに海外ではマネー教育を必須のものとして扱っています。「人生100年時代」といわれる今、日本でも人々のマネーリテラシーの向上は急務と言わざるをえません。

西村 隆男 横浜国立大学名誉教授、経済学博士

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にしむら たかお / Takao Nishimura

財団法人消費者教育支援センター主任研究員、横浜国立大学助教授、アイオワ州立大学客員研究員などを経て、2000年より横浜国立大学教育人間科学部教授、東京学芸大学連合大学院博士課程教授(兼務)。2017年定年退官、現在は横浜国立大学名誉教授。専門は金融教育、パーソナルファイナンス、消費者教育。消費者教育推進会議会長、日本消費者教育学会会長などを歴任。現在、文科省消費者教育推進委員会委員長、金融経済教育推進会議委員、金融広報中央委員会委員などを務める。著書に『社会人なら知っておきたい金融リテラシー』、『子どもとマスターする46のお金の知識』、『子どものおこづかい練習帳』などがある。

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