年間15%の人件費が「会議」に使われている衝撃 不毛な会議は「社内の民主化」の裏返しだ
ちなみに、1976年時点では「アメリカで1日に開かれるミーティングは1100万回」との報告があります。この40年ほどの間で、ミーティングの数は確かに増えたことがうかがえます。では、なぜこんなにも会議は増えたのでしょうか? リーダーの性格という問題もあります。例えば、自分で物事を決めたがらないリーダーや周囲に向けて仕事をしているアピールをしたがるリーダーは、ミーティングを好む傾向にあります。
しかし、それだけではありません。大きな要因として考えられるのは、「組織の民主化」が進んだことです。現代の職場では、従業員がより積極的に意志決定に関わることが求められます。従業員の声を集め、それをチームの意志決定に反映させることでチームとしての協働感を育み、大きな力を発揮する――そういった価値観を体現しているのが、まさにミーティングという存在です。
トップダウン型のマネジメントが昔ほど当たり前ではなくなっており、組織はヒエラルキーからフラットへと変化しています。そういった時代の流れも、ミーティングの増加を後押ししているといえるでしょう。
ある製薬会社の幹部の声です。「わが社では、社員全員を巻き込む文化、チームとして学び、成長する文化を推進しています。ミーティングが多すぎるという状況は、その取り組みに伴う税金みたいなものでしょう。トップ以外は誰も意見を言わなくなり、社内の協力関係やコミュニケーションが減るくらいなら、もっとミーティングを増やしたほうがましですよ」。
69%の従業員は会議に否定的
そんなマネジメント層の思惑とは裏腹に、出席する当の従業員たちの反応は芳しくありません。
2005年、マイクロソフトが4万人近くの会社員を対象に働き方や生産性に関する調査を行ったところ、全世界で69%の会社員がミーティングは非生産的だと考えていました。また、2014年に行われた「職場の時間泥棒は何か」を尋ねた調査によると、「ミーティングが多すぎること」という回答が最も多かったそうです。
2000人以上の会社員を対象に行われた調査では、「(作業の進捗を報告するような)ミーティングの間は、話を聞きながらほかの作業もしている」と5人に3人が回答。そして半数近くは、「あんな会議に出るくらいなら、免許センターの長い列に並んだほうがまし」という欄にチェックを入れました。
私自身、セミナーの席で、「ミーティングで使う時間の何%が無駄だと思いますか?」という質問をすることがあります。この調査では、私が「10%、20%」と数字を上げていき、自分の感覚と一致する数字のところで拍手をしてもらいます。拍手がいちばん大きくなるのは、いつも決まって「50~70%」のところ。南米、アジア、ヨーロッパ、北米の各地で聞き取りを行っていますが、結果はどこも同じでした。
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