24時間営業廃止がファミレスから始まった必然 コンビニなどへ直ちに波及する流れでもない

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「24時間働けますか?」が流行語になった時代でもあるのですが、さすがに私もその人たちも24時間は働けません。それで私もなんどかお世話になったのですが、深夜残業で体力的にきつくなると午前中に上司にレポートを手渡したあと、仮眠ができる場所に向かうわけです。今のようにインターネットカフェがそこらじゅうにあるわけではないので行先といえば水道橋のサウナしかない。

都心でもそれほど昼間に仮眠できる場所がなかった時代です。サウナに行くとそこはワンフロアーが広大な仮眠室になっていて、そこにはおびただしい数の企業の営業マンがいる。終夜営業を強いる企業においては、そういったサボりを容認する清濁あわせ呑む優しさが普通にあった時代です。

さて、ファミレス黄金期のそのような古き良き時代は3つの時代の変化によって消えていくことになりました。

ファミレスがなぜ廃れたのかということについては「携帯電話に需要を奪われた」という側面が強くあります。ファミレスも携帯もどちらもコミュニケーションツールという意味で同じ土俵の商品サービスだったわけです。

ただファミレスが廃れるのにあたっての携帯の影響はそれほどシンプルではありません。携帯が急速に普及した1990年代後半から2000年代前半にかけてはむしろ携帯のおかげでファミレスの深夜需要は増えたはずです。理由は会いたい相手を容易に呼び出すことができるようになったからです。

確かにこの時代、深夜に携帯が鳴ってかけつけてみたらファミレスに何人か知った顔が集まっているというシチュエーションはそれなりに新しい体験で、それがちょっとした楽しみでもありました。しかしその楽しみの醍醐味はファミレスではなくコミュニケーションこそがあくまで主役。そのコミュニケーションのおもしろさが2010年前後に急速に普及したSNSに主役を奪われていくことになるのです。

とどめを刺したのはおそらくLINE

その意味でファミレスの24時間営業にとどめを刺したのはおそらくLINEだというのが私の認識で、この点はそれほど間違っていない洞察だと思います。

一方で3つの要因のうち一番早く、ファミレスの深夜需要を削っていったのが飲酒運転規制です。この時代、悲劇的な交通事項がいくつも大きく報道され、それまでの社会で黙認ないしはスルーされていた「仲間の酒気帯び運転」について、一緒に騒いでいる友人たちも同罪である形に法律や社会ルールが変更されました。

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