グーグルが「スマートホーム」に本気を出す理由 アメリカ本社責任者「日本で新製品続々投入」

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ドアベル(インターフォン)やカメラ、煙探知器といったネストブランドのほかの製品も、なるべく早く日本で展開したい。一方でローカライズも必要だ。例えば日本は冷暖房が家の中で集中管理されていないので、サーモスタットはあまり必要ない。日本の住環境や生活の仕方をもっと理解する必要がある。

例えば音楽ストリーミングはほかの国ほど浸透していない。自社のユーチューブミュージックのほか、スポティファイやアップルミュージックなどと連携し、大きなビジネスチャンスをどうとらえるかを考えたい。また、家のサイズやタイプも(アメリカとは)大きく違う。環境にしっくりくるようなローカライズは必要だ。

一方で、家の中におけるユーザーの課題は世界中で共通している。安心と安全が守られたい、家にいながら誰かとつながりたい、エンターテインメントを楽しみたい、何か物事をこなしたい、といったことだ。

1つの「家」というデバイス

――今後スマートホームとそれを取り巻く技術はどう変わっていくのでしょうか。

ネストとの統合後、5年先を見据えたビジョンを考えたときに、いくつかの結論に行き着いた。

1つは、コンピューティングにおけるイノベーションを考え直すということ。スマホやノートPCには、インプットやアウトプットのための機器やセンサーが1つのデバイスにまとまっていた。だがアンビエントコンピューティングの考え方では、インプット、アウトプット、センサーが家中に散らばる。けれども、消費者にとっては1つの「家」というデバイスがあるかのように感じられるようにする。

アメリカでネストブランドとして展開している監視カメラ(左上)、ドアベル(インターホン、右上)、サーモスタット(下)(画像:Google)

そこで今取り組んでいるのが、スピーカー、サーモスタット、ディスプレイ、カメラといったスマートデバイスをどのように1つの家のようにデザインするかということ。これらのデバイスが一緒に機能するように新たなプラットフォームを構築しなければならない。

もう1つ大きなチャレンジが、これまでのコンピューターはパーソナルなものだった一方、家の中に置かれたスマートスピーカーやスマートディスプレイはそうではなくなるということ。そこで声や顔による認証が必要になる。私がデバイスの持ち主だったとしても、家族や友人などあらゆる人が触れるようになる。

例えば音楽ストリーミングのスポティファイであれば、その場にいる人によって流す音楽を変えたりする必要がある。そもそも既存のサービスは1対1の関係を前提としている。

さらに3つ目が、アンビエントコンピューティングにおけるイノベーションを促すのは、コンピューターそのものではなく、コンテクスト(文脈)になるということ。今家の中で何が起こっているか。玄関のドアが開いている、浴室が暖まっている、スピーカーやテレビ、ライトが点いている。こうした状況をAIシステムが理解し、ユーザーのためにいろいろなことをしてくれるようになる。

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