残業減らす働き方の功罪をとことん考えてみた 給料がその分減らず逆に増える枠組みも必要だ
真山:ランチ100食だけで利益は出ますか?
中村:しっかり黒字になる設計になっています。徹底的なコスト管理とともに従業員やお客さまへの還元を意識しているので、ビジネスの利益率は1%程度しか見込んでいませんが、会社は継続していけます。
食材は決まっているため、ロスをなくし、ごみの処分費用を抑えます。短時間の営業で水道代や光熱費を抑え、広告宣伝費はかけずにお客さまのSNSによる口コミで広めてもらっています。
真山:労働時間が短いと従業員の給料水準が下がりませんか?
中村:一般的な飲食店と同じ水準です。採用面接の時点で、絶対に残業がないため、残業代で稼げないと伝えています。「売り切れば早く帰れることがいちばん大事」という人材を採用しています。
大事なのは会社の哲学を共有し、徹底すること
真山:日本ではまだ、猛烈に働くのが当然だと思う人が多くいますが、それを押し付けてはいけない時代になりました。とは言え、長時間の労働を受け入れなくても、限られた時間の中でベストを尽くして、結果を出していることを認めていかないと、日本の社会で広がり定着しないと思います。
「これだけは働くけれど、あとの時間は自由にする」という主張を徹底し、ちゃんと実践できているのであれば、それはまさに新しい働き方です。
働く時間を短くすれば、その分、集中力が増して仕事の効率が上がり、それが給料アップにつながるなど、プラスに転じないといけません。それが実現できるようになったのは、日本が豊かになったからです。
大事なのは、会社の哲学を共有し、それを徹底することであり、「猛烈に働け」という代わりに、労働時間を減らすだけでなく、自分たちの仕事に誇りを持てるようになり、帰属意識が高まるような改革をしなければならない。働き方改革を進めるためには、経営者がそのような発想を持てるかどうかが重要なピースだと思いますね。
(構成:二宮 未央/ライター、コラムニスト)
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