夫を電車に乗せて消えた妻が抱えていた「症状」

その日はあまりに突然やってきた

患者さんや男性たちの声に耳を傾けていると、女性と男性の間には、更年期に対する意識や心構えに隔たりがあり、それがコミュニケーションにも影響していると感じます。まずは、更年期とはどういうものなのか、心や体にどんな変化が表れるのかを正しく知っておくだけでも、悩みや不安が軽くなり、コミュニケーションのすれ違いも減ってくると思います。

更年期は誰にでも訪れるものですが、その時期や表れる症状には個人差があります。そもそも、更年期に対する解釈も、人それぞれ違っていることが多いものです。例えば、更年期は閉経後にやってくるものだと思っている方もいれば、閉経すれば終わるものだと思っている方もいます。これはどちらも正しく、どちらも間違っているといえるくらい、人によって更年期の症状は異なります。

更年期に表れる症状とは

一般的には、40歳ころから女性ホルモンの分泌量が低下していき、それに伴って月経周期が乱れ、やがて閉経を迎えます。そのタイミングは、月経がない状態が1年以上続いたときに、最後の月経の時期を振り返って閉経と考えます。平均的な閉経年齢は50歳。その前後5年くらいずつ、つまり、40代半ばから50代半ばにかけての時期を更年期と呼びます。

更年期に表れる症状は、ホットフラッシュと呼ばれるほてりや発汗、疲労感や倦怠感、目まいや耳鳴り、肩こりや腰痛、関節痛といった身体的なものから、気分の落ち込み、不安感やイライラ感、不眠といった精神的なものまでさまざまです。

それに加えて、更年期は女性の人生の中でも複数の役割をもつ時期とも重なります。仕事をしていれば部下や後輩の指導を任されたり、責任のある役職に就いたり。子どもがいれば受験や就職、結婚といったイベントがあったり、親の介護の問題が出てきたり。そうした心身にかかる負担が、更年期の症状に拍車をかけていることも多々あります。

女性更年期外来で患者さんのつらい症状や悩みを聞いていると、感情が高まって、泣き出してしまう方もいます。医師である私は冷静に対処できますが、男性がパートナーに感情をぶつけられたり、泣き出されたりしたら、うろたえてしまうのも無理はありません。

男性はもともと感情的に話されるのが苦手なので、女性に感情をぶつけられると、「キレられた」「ヒステリーを起こされた」などと感じて引いてしまったり、黙り込んでしまったりします。そして、パートナーに対して腫れ物に触るような接し方をしたり、「お前も更年期か?」といった不用意な言葉をかけたりして、悪気もなく女性の感情を逆なでしてしまうことがあります。

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