優良メーカーが文系を「欲しがる」こんな理由

営業だけじゃない!活躍できる仕事はこれ

実際、どのように文系学部出身は活躍しているのか。まずはコーポレートコミュニケーション部の上田晋さん(41)にインタビューした。上田さんは慶応義塾大学の経済学部を卒業し三井化学に入社。大牟田工場の管理部経理グループから基礎化学品事業本部、経営企画部を経て、現在はコーポレートコミュニケーション部のIRグループに所属している。

蔭平:今まででいちばん印象に残っている仕事は何ですか。

上田晋さん(以下、上田):経営企画部時代の2016年に2025年をゴールとした長期経営計画を策定したことです。社内の各部署から選ばれた十数人のメンバーとともに会社の方向性や業績目標を定め、その実現のための基本戦略を練りました。経営企画部内で素案ができると、それを経営陣に持っていき議論して詳細を詰めます。素案の提出から議論というプロセスを10数回繰り返しました。

プレッシャーはありましたが、会社の方針決定に立ち会えたのはとてもいい経験でした。自分がホワイトボードに書いたことが長期経営計画に織り込まれることに大きな責任とやりがいを感じました。

鈴木:現在のIRグループではどんな仕事をしているのですか。

三井化学のIRグループに所属する上田晋さん。投資家の取材対応は年間400件を超える(筆者撮影)

上田:投資家への対応です。弊社の方向性、戦略、決算数字、業績見通しなどを把握したうえで投資家へ説明をしています。機関投資家のファンドマネジャーやアナリストから年間400件以上の取材を受けます。投資家への説明のために、社長や副社長と2人で出張というのも珍しくありません。海外投資家への説明のためには6泊8日5カ国9都市といった強行出張もあります。

会社のトップと行動を共にすることで経営陣の考えを知ることができます。また投資家の取材に備えることで会社全体を知ることができます。

IRとは会社の価値を投資家に売り込むという重大な業務であり、上田さんはその中心で活躍している。自分が取材対応した投資家が、三井化学の株式を大量に買い付けてくれたときに大きな達成感を感じるそうだ。

次にヘルスケア事業本部の山下健一郎さん(44)にインタビューした。山下さんは慶応義塾大学の商学部を卒業後に三井化学に入社。大牟田工場の総務部から農業化学品事業部、基礎化学品事業部を経てドイツ駐在員として活躍。現在はヘルスケア事業本部で事業戦略策定を担っている。

鈴木:今までのキャリアの中で会心の仕事は何でしょうか。

山下:2013年にドイツ企業から歯科材料事業を買収するプロジェクトに携わったことです。弊社としては最大規模の海外M&Aをコアメンバー3人で遂行したので非常にチャレンジングでした。M&A成立後の経営戦略も担当したのでやり切ったという感覚がありますし自分自身が成長できたと思います。

2013年6月、三井化学はドイツの産業用貴金属加工メーカーであるヘレウスから歯科材料事業を4億5000万ユーロ(当時約549億円)で買収した。同社は成長の見込めるヘルスケア分野を強化する方針で、このM&Aは三井化学の将来に大きな影響を与えるものだった。

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