優良メーカーが文系を「欲しがる」こんな理由 営業だけじゃない!活躍できる仕事はこれ

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次に営業部のBさん(30)にインタビューした。Bさんは関西の私大の経営学部卒。AP大学を卒業後、技術開発本部でグラインダー(研削装置)の開発などの開発に携わり、その後営業部へ異動し現在に至る。 昨年度、電子部品向けの小さいチップを切断する装置(ダイシングソー)の販売に成功した。

大亀:メーカーにおいて文系であることの強みは何ですか。

Bさん:技術の専門家ではないからこそ、顧客にわかりやすく説明できるのです。理系の人だと自分がわかっているので、相手もわかって当然ということになってしまう。文系のほうが顧客と同じ目線に立った説明ができると思います。

Bさんが営業で実績を上げているのは、開発職で培った知識が役立っているからだ。とくに開発部門で携わっていた装置が非常にニッチなものであったため、その分野の知識については圧倒的な自信を持っている。文系であっても開発職で身に付けた知識をベースに成果を上げることができる。

理系学生であっても大学の専攻と会社での業務が一致することは多くない。入社時に専門知識がないという点においては文系も理系も同じだ。これまで見てきたようにメーカーにはさまざまな仕事があるし、その仕事を覚えるためのOJTや研修もある。倉庫整理のような雑用に見える研修でも、実はその後のキャリアに役立つ研修もある。

メーカーは社員育成に心を砕いており、文系を軽視することはない。何よりもメーカーは理系だけでなく文系も採用したいのだ。今回取材した3社も文系学生の応募を強く期待していた。イメージや噂でメーカーへの就職を諦めるのではなく、文系学生もメーカーを就職対象と考えるべきだろう。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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