ダイバーシティ推進で大きく変わる日本型人事制度 第1回(全3回)

ダイバーシティ推進で大きく変わる日本型人事制度 第1回(全3回)

青山学院大学 大学院国際マネジメント研究科
教授 須田敏子

 日本企業の中でダイバーシティ(最近はダイバーシティ&インクルージョンともいう)に対して急速に関心が高まってきている。だが、欧米諸国に比較すると日本での取り組みは遅れているといわざるをえない。

 日本でダイバーシティが進展しない理由は数多いが、ひとつには日本型人事制度とはフィットしないという問題がある。そこで本連載では日本型人事制度との関係から、日本でダイバーシティが進展しない理由を考えてみる。

ダイバーシティと相反する日本型人事制度
 日本型人事制度の特色としてまず挙げられるのが、長期雇用である。そして長期雇用にフィットした施策として新卒一括採用、年功制、ローテーションを含む内部人材育成・内部昇進などの特色がある。この人事システムは、長期雇用によって社員の生活基盤を確保し、さらに年功的処遇によって多くの社員に対してある程度の出世を可能とすることで、会社へのロイヤルティ・コミットメントを高めることに成功した。

 同時に、社員間に激しい競争を生み出すことで社員の高い努力と成果を実現する合理的な制度でもあり、これまで日本経済を牽引してきた大きな要因といえる。

<日本型人事制度の特色>
長期雇用を基に図に示した人事施策がすべて補完性をもっている
 一見すると、年功制と激しい競争が両立するのは不思議な気がするが、激しい競争を生み出すには年功制が必要なのである。キャリアの早い段階から昇進に差をつけると、昇進できなかった社員は、早い段階で昇進をあきらめてしまうが、キャリアの中盤まで出世に差をつけなければ、多くの社員が長い間出世競争に参加できる。

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