国語で道徳を教えるな「国語よ、ロックであれ」 ブレイディみかこ×新井紀子「国語」を語る
ともに「子ども」が置かれている現状を通して社会に問題提起しているブレイディみかこ氏と新井紀子氏。
ブレイディ氏は、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で中学生の息子さんの体験と成長からイギリスの社会問題を炙り出しています。一方、新井氏は『AIに負けない子どもを育てる』で、子どもたちが読解力を身に付けるためにどうすればいいのかを描いています。
日本とイギリスの問題点を踏まえ、それぞれどのようにお互いの著書を読んだのでしょうか。また、子どもたちがこれからの社会を生きていくうえで、何が必要とされているのでしょうか。
前回に続き、子どもたちの現在と未来について、注目の2人がそれぞれの現場から語ります。
イギリスも日本も切り捨ての世の中に
ブレイディみかこ(以下、ブレイディ):イギリスでは福祉に手厚かった労働党政権の後、保守党のキャメロンが首相になって福祉切り捨ての緊縮財政が断行されました。生活保護や医療、教育の予算がカットされています。私が働いていたところは慈善施設の託児所でしたが、補助金がなくなって結局潰れてしまい、フードバンクに変わりました。
図書館も軒並み潰れ、それをホームレスのシェルターにする計画があります。つまり、教育や文化的なことには一切おカネは使わず、死にそうな人だけ助けるよという政策です。それって、社会的自殺行為ですね。
新井紀子(以下、新井):日本では、憲法は生命だけじゃなくて文化的生活も保障することになっていますが、事実上、そうはなっていません。しわ寄せを受けるのは、弱い人たち、低所得者と子どもです。
ブレイディ:そう、だから、子どもなんですね。
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