「無力な人間」でも他人を変えられる唯一の方法 「サードドア」著者、学生たちとガチンコ対話

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社会の期待や自分の殻から抜け出し、飛び出してやろうという勇気を、あなたからほかの誰かに伝染させましょう。

あなた自身が行動してそれを共有する。それが目的に近づくことではないでしょうか。

これから書道でどう食べていけばいいか

学生D:僕は8歳から書道を習い、これまで全国大会で最高位の賞を含めて40以上の賞をとってきました。いま日本の伝統文化はその担い手が高齢化しています。

日本の若者は、最初は芸術を志しても、大学を卒業する年になるとリスクを考え、夢を諦めて就職します。

さらに、伝統文化の世界では経験が優先され、年を取ってからようやく食べていけるようになる状況です。僕の作品もなかなか売れません。

この状況でどう立ち向かってゆけばいいか、アドバイスをお願いします。

バナヤン:あなたの作品を拝見しました。あなたの書道のレベルでしたら、十分プロとしてやっていけるのではないでしょうか? 

あなたの芸術をどのようにお金にしてゆくかですが、1つは、自分の書道を突き詰め、作家として有名になり屹立することでしょう。

そしてもう1つ、これをビジネスとして捉え、作品を企業に持ち込み、企業が使いたいと思う形に変えていくことがあると思います。

私の友人に詩人がいます。通常は、詩を書いてもお金なんて儲かりません。

そこで彼は、詩を書くスキルを企業に売り込みました。「詩作を通して自分の弱さを認め、伝える」というテーマで、従業員向けのワークショップを企画したんです。彼はこれでかなり稼ぎました。人々が必要としていることを提供したからです。

あなたの持つスキルと、企業が必要としていることを結び付ける道を考えてみましょう。

例えば、スティーブ・ジョブズは、アップルが成功したのは、自分が大学でカリグラフィー(飾り文字)の授業をとっていたからだと言っています。芸術的な文字の世界に触れたことが、コンピューター産業の大きな変化につながったわけです。

2つのことを組み合わせることで、物事はとても面白くなったりします。日本の文化に伝統的に根付いている書道。そして、あなたはスマホがある世界で育ってきた世代。

これを組み合わせて何か考えてみてはどうでしょう。

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