五輪選手村が建つ晴海、勝どきが迎える急変化

東京2020大会後、1万人のまちができあがる

急ピッチで建設が進む東京2020大会の選手村。撮影は2019年8月末(東洋経済オンライン編集部撮影)

2020年7月に開幕する東京オリンピック(五輪)。今年の夏には各競技のプレ大会が行われるなど、大会本番への機運は高まる一方だ。

しかし、10月に入りIOC(国際オリンピック委員会)からマラソンと競歩の会場を北海道・札幌へ移すことが突如、提案された。東京の猛暑を不安視したIOCからの提案に対し、東京都の小池百合子都知事は東京実施を主張し対立。その後、調整委員会での議論を経て11月1日、札幌開催が正式決定し、発表の運びとなった。

東京2020大会の調整委員会委員長のジョン・コーツ氏(左)、と東京2020組織委員会委員長の森喜朗氏。コーツ氏は「(東京の)猛暑の中での開催で、悪い記憶を残したくなかった」と話した(編集部撮影)

小池都知事からは都の定例会見で「合意なき決定」との発言も飛び出したが、IOC/東京2020合同記者会見で森喜朗・東京2020組織委員会会長は「東京都は大英断ともいえる決断をされた」と話した。

開催まで残り9カ月で「札幌マラソン」が開催されることとなったが、組織委は北海道や札幌市とマラソン・競歩をどのように開催するのか、費用負担をどうするのかについての議論を進めていかなければならない。11月1日時点ではまだ未定という。

このように予期せぬ事態に直面する東京五輪・パラだが、大会まで300日を切る中、多くの施設の整備が進み、開催準備が整いつつあるのもまた事実だ。

選手村も今年12月には完成予定

選手・関係者を最大1万8000人収容する選手村(中央区晴海)もその1つだ。宿泊棟や食堂、交流エリアが設けられ、宿泊棟は2019年末の完成に向けて工事が急ピッチで進んでいる。

選手村はご存じのとおり、大会後にリニューアルされ、総住戸数5632戸(うち分譲4145戸)という大規模マンション群の「晴海フラッグ」として2023年3月下旬から入居可能となる予定だ。すでに今夏に第1期第1次販売が終了。約600戸が即日完売となる盛況ぶりだった。

「晴海フラッグ」の総居住者は1万人を超えると見られる。つまり、晴海地区には近い将来、地方の1自治体に匹敵する規模の人々が一気に住み始めることになるのだ。

晴海国際客船ターミナルに隣接し、レインボーブリッジをはじめ東京湾を一望できるこのロケーションはオシャレなエリアの1つ。

ベイエリアの雰囲気に憧れ、五輪決定に先駆けて10年以上前から晴海エリアにマンションを購入した居住者も少なくない。彼らの中には、いきなり1万人規模の新たな町ができることに戸惑いや違和感を覚えている人もいる。

選手村マンションの目の前には東京湾を望むこともできる(編集部撮影)

「高いビルばかり建って眺めが悪くなりました。東京五輪への期待はあまりないです」と近隣に長く住む60代の男性が仏頂面で言えば、30代の子連れママさんも「訪日観光客や外国人居住者も増えるでしょう、治安が悪くなるかもしれないですね」と先々を危惧する。

五輪イヤーの2020年に入ると晴海国際客船ターミナルが閉鎖され(2020年7月14日に開業する東京国際クルーズターミナルへ機能移管)、中央清掃工場の一角にある地域住民のスパ・健康増進施設「ほっとプラザはるみ」も営業休止となるなど、生活環境もさらに変化することになる。地元の人々の不安材料は尽きないようだ。

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