「不適切な関係」に耐えたヒラリーがモデル!?
アリシアは、まさにこの理想の家族を体現するグッド・ワイフだったわけだが、本作は法曹界や政治がらみの内容であることから、実在の人物をモデルにしたキャラクターや出来事を想起させるエピソードも多い。アメリカの政治に詳しいビジネスパーソンなら、しばしば符号することがあるに違いない。特に40代の読者なら、夫のスキャンダルと優秀な弁護士の妻という設定に、ビル・クリントン元大統領とモニカ・ルインスキーの「不適切な関係」を思い出した人も多のではないだろうか。
クリントンの妻は、言わずと知れた弁護士でもあるヒラリーである。1998年当時、過去に類を見ないワーキングウーマンであるファーストレディとして、「専業主婦に冷たい」「急進的フェミニスト」などという非難も浴びた。同時に、夫の不貞に耐え続け、離婚はせず、窮地においては徹底して擁護し、家庭を死守したことによって自身の株を上げ、キャリアをステップアップさせたヒラリーは、ある種の女性の理想型でもあるのだろう。
アメリカのTVドラマを見ていると、しばしばヒラリーをモデルにしたと思われる女性像を目にする。また、ドラマの中でヒラリーをメンターのように敬愛する女性キャラクターが登場することも少なくない。アリシアというキャラクターもまた、ヒラリーのある部分をモデルとしていることは明白だ。
なぜ離婚しないのか
そこで、女性なら彼女たちに必ず抱く疑問がある。それは、なぜ離婚しないのかということだ。ドラマを見ていると、殊勝な態度で妻への懺悔を口にし、スキャンダルに関して誰かにハメられたと主張するピーターをうっかり信じたくなるのだが、そう思った次の瞬間には、まんまと裏切りが発覚する。演じるクリス・ノースは、『SEX AND THE CITY』のミスター・ビッグ役でもおなじみの伊達男で、「仕事がデキてチャーミングだけど、非常にやっかいな男っているよなあ」と思わせる役をやらせたら右に出る者はなし!
そうした夫を愛し、信じて支えてきたアリシア。何が真実なのかを見分けるのは非常に困難な状況の中で下す彼女の選択については、さまざまな意見があると思う。
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