出口治明「死ぬときは自分の家で思い通りに」

人生「悔いなし、貯金なし」で終われば最高

出口治明氏の考える理想的な死のかたちとは(撮影:梅谷秀司)
今、医療の発達とともに100歳を超えて生きる人は珍しくなくなり、「人生100年時代」が言われています。
自分はどのような死を迎えるのだろうか、どのような死を望んでいるのか――。「大往生」を広辞苑で引くと、「安らかに死ぬこと、少しの苦しみもない往生」とあります。そんな理想的な死のかたちとは、どういうものか。
週刊文春編集部が人生を達観した先達たちに「理想の死に方」を尋ねる連続インタビューをまとめた『私の大往生』から出口治明氏の章を抜粋してお届けします。

東京駅に隣接するビル内の立命館アジア太平洋大学(APU)東京キャンパスに、出口治明氏はきびきびした足取りで現れた。1948年生まれ、現在71歳。還暦にしてライフネット生命保険を開業するとともに、読書家として知られ、歴史に関する著書も多く、昨年からはAPUの学長を務めている。

人間はいつかは死ぬのだから、考えても仕方がない

「実は、死に方というようなことはあまり考えたことがありません。人間はいつかは死ぬのだから、考えても仕方がない。仕方がないことは考えないというのが、僕の基本的なスタンスなんです。

例えばクロード・レヴィ=ストロースは、『悲しき熱帯』の終章で、『世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう』と書いていたと思いますけれども、まったくそのとおりだと考えています。

地球の生命の歴史は40億年前に始まり、あと10億年で終わることがもう確定しています。それは太陽が大きくなって地球の水分がなくなるからですね。地球の生命の歴史が終わる以前に人間の歴史は終わり、たぶん最後は細菌が生き残るのだと思います。

人間の未来の終焉が確定しているように、僕という1人の人間の死も生まれてからおよそ100年以内と決まっていることです。

かつては『人間はどこから来てどこへ行くのか』という謎に思いを巡らすこともありえましたが、今ではサイエンス、自然科学によって、明確にその答えがわかっているわけです。人間はいわば星のかけらであって、死んだら星のかけらに戻るだけです。

こんなことを話すと、『えらく悟っていますね』などと言われるのですが、悟りではありません。単にファクトを認識しただけだと僕は思っています」

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