出口治明「死ぬときは自分の家で思い通りに」 人生「悔いなし、貯金なし」で終われば最高

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医療点数表で思い切って1000点ぐらいを与えたら、医者は必ずやります。それをクラウドか何かで保存しておいて、1年経ったら気持ちが変わっているかもしれないので、また聞いて、更新したらまた1000点あげる。医療点数表で思い切って加算すれば、マーケット原理が働いて医者は絶対やるので、たちまち広がると、皆さん、思いませんか。

意識がなくなったときにどういう治療を受けるかということは、絶対に本人以外には決められないのですから、ACPは早く制度化してほしいですね。日本は超高齢社会ですから、世界に率先してやるべき責務があると僕は思います。

自分の家で安心して死ねる社会、自分の思いどおりに死ねる社会を目指すべきです」

あるお医者様からの痺れた「手紙」

遺書をめぐっては、ある人の死に方が出口氏の胸に刻まれている。

「お付き合いのあった、あるお医者様です。僕よりかなり年上の方です。その方が亡くなったときに、ぜひお葬式に行ってお別れをしたいと申し入れたら、『故人の遺志ですから』と固辞されました。ところが、1週間ぐらい後に、その亡くなったお医者様からお手紙が届いたのです。何やろうこれは、と開いてみると、

『みなさん今日は。突然私はあの世に行くことになりました。急なことなのでご挨拶ができずにすみません。みなさんには大変お世話になりました。みなさんはまだあの世に行こうなんてアホなことは考えずに、今のお仕事を一所懸命やってください。時が来たらあの世でお待ちしていますから、また楽しく語り合いましょう』

などと印刷された文面でした。これには痺れました。もしものときのためにあらかじめ手紙を用意されていたのですね。

僕も、朝起きてちょっとしんどいからそろそろ仕事を辞めようかという時になったら、最初にACPとこんな手紙を書いておこうと思っています。

ACPに書きたいのはまず、延命治療はいっさい要らないので、意識がなくなったら何もしないでほしいということ。

それから、お墓は地球を汚すだけなので、骨は海にまいてもらいたいということ。お墓があれば子供たちがたまには墓参りに行かなあかんとか思うかもしれない。なければそんな面倒をかけずに済みます。

今は学長をやっていますから、規則で年に1回、健康診断を受けなければいけないのです。僕ぐらいの年齢だと人間ドックで丁寧に見てもらう例が多いようですが、僕は学園が要求するミニマムの検査だけしてもらって、さっさと帰ることにしています。基本的には病院が嫌いなんです。

人間、70歳を過ぎたらいつ死んでもおかしくない。最小限の検査をして、普通に働いてええと診断されたら、それで十分やというのが僕の考えです。

健康法などは一度も考えたことはないですね。動物は寝て、ご飯を食べていればいいわけです。あとは働いていればそこそこ歩きますしね。普段は地下鉄を使うので、毎日1万数千歩は歩いていますね。

だいたい夜12時前後に寝て、朝6時前後に起きるというパターンです。何もない週末は朝8時か10時ぐらいまで寝ています。寝るのが大好きなんです。寝る前に1時間ぐらい本を読むのが習慣になっていますから、読んでいて眠たくなったら寝ようかという感じです。眠りが深いので、朝は目覚ましをマキシマムにして起きています。睡眠の時間や質は、若い時とあまり変わっていないと思います」

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