10年ぶりのドイツ景気後退と緊縮主義の終わり

欧州の「今」はどうなっているのか

ついにドイツも財政出動へ?(写真:ロイター/Hannibal Hanschke)

世界中が不穏な雰囲気に包まれる中、8月19日、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)は月報の中で同国経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性を指摘した。

ドイツ連銀のイェンス・バイトマン総裁は足元の減速を「an economic “slump”」と形容し、「国内は依然好調だが、製造業と輸出に脆弱性が集中している。貿易摩擦とブレグジットをめぐる騒動が重要な理由だ」といった内容の分析を披露している。とりわけ輸出の急減速が製造業における稼働率を抑制し、設備投資を控える動きにつながっているという。

同報告書では7~9月期も4~6月期に続いてマイナス成長となる可能性が指摘されており、ドイツがテクニカル・リセッション(2四半期連続での前期比マイナス)に入るシナリオが現実味を帯びてきている。仮にそうなった場合、2009年1~3月期以来、約10年ぶりの話となる。すでに過去4四半期平均で成長率はゼロ%であるため、半ばリセッションに片足を突っ込んでいる状況ではあるが、「ドイツ、10年ぶりの景気後退へ」とのヘッドラインは相応にショッキングなものだろう。

さすがのドイツもついに財政出動へ

そうした月報が公表された翌日の20日、域内3位の経済大国であるイタリアではジュゼッペ・コンテ首相が連立政権の維持をついにあきらめ、辞任する意向を表明した。今後のイタリア政局がたどる展開はいくつか考えられる。10月末に解散総選挙というシナリオも現実味を帯びており、そうなると英国のEU(欧州連合)離脱期限と同時にイタリアで総選挙という話になる。ただでさえ2019年のリセッション入りが予想されているイタリア経済にとっては悲惨としかいいようがない事態である。

こうした状況の中、ECB(欧州中央銀行)の政策には早急に「次の一手」が求められていることは間違いないが、残されたカードは極めて乏しい。

さすがのドイツもこの期に及んでは拡張財政の必要性を口にし始めている。8月19日、オーラフ・ショルツ独財務相はリセッションに備えて500億ユーロ相当の追加支出が準備可能だと述べている。ユーロ圏内外から悪評を受け続けている教条主義的な緊縮路線について、いよいよ修正が検討される兆候として注目である。

筆者は過去の東洋経済オンラインへの寄稿『トランプの貿易戦争、ドイツに非はないのか』でも議論したが、近年のドイツ経済の貯蓄・投資(IS)バランスの姿は異様なものである。

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