為替操作国認定でチャイナショック再来の衝撃

米中対立激化で現実味を帯びる通貨安戦争

ついに1ドル=7.0元を突破(写真:REUTERS/Kacper Pempel )

8月5日、ドル元相場がついに1ドル=7.0元の節目を突破した。直近1年間では昨年11月、今年5月に続く3度目のトライで節目を捉えた格好である。オンショア人民元(CNY)としては2008年5月以来、11年ぶりの安値、オフショア人民元(CNH)としては過去最安値である。

米中貿易戦争の最中、中国政府が「1ドル=7.0元」を防衛できる見込みは立たないという論点については過去の東洋経済オンラインへの寄稿『1ドル7.0元防衛で中国外貨準備急減の大問題~資本流出阻止に躍起も、防衛線は突破される~』でも議論した。そこでは「中国当局がメンツを捨てて、7.0超えの元安・ドル高を許容するほうが、筆者はありそうな展開だとみている」と書いていた。

7.0突破を契機として株価は下落、為替市場では円相場が騰勢を強めたが、これは2015年8月11日の「チャイナショック」を想起する向きも多かったのだろう。人民元の急落を捉えて即座にアメリカ・トランプ政権が為替操作国認定を発表したこともリスクオフムードに拍車をかけた。チャイナショックから丸4年。これまで軽々に使われてきた通貨安戦争というフレーズがかつてないほど現実味を帯びている。

なお、8月6日には中国人民銀行がドル元の基準値を高値方向に設定して緊張感が和らいでいるが、後述するように、これは人民元の一方的な下落も困るという中国政府の難しい立ち位置を示すものでもあり、楽観はできない。

対抗措置の色合いが強い元安

今回の動きは8月1日にトランプ大統領がツイッターで発表した対中輸入3000億ドルに対する追加関税への意趣返しだと解釈される。

今回に限らず、中国の対米輸入額のほうが米国の対中輸入額よりも圧倒的に少ない以上、中国政府は「輸入品に課税する」という武器だけでは貿易戦争を戦えない。理論的には10%の追加関税は10%の通貨安で相殺することが可能なため、米国が中国に追加関税を課すたびに対ドルで人民元が下落するという筋合いになる。資本流出のリスクにさえ配慮できれば、通貨安は中国政府からすれば極めて真っ当な基本戦術である。

昨年以降のドル元相場の動きを振り返ってみても、そうした通商交渉と元相場の関係性は浮かび上がる。これまでも両国の緊張激化と元安には明らかな関係があったとはいえ、今回の下落はこれまでにない性急なものであり、対抗措置としての色合いを強く感じる。

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