第3回 今のままでは明日はない

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長時間労働が評価されるのは30代前半まで

日本の企業は未だに長時間労働を評価する傾向にある。
労働時間の少なく生産性の高い部下より、生産性が少しくらい低くても長時間働く部下を評価する管理職が多数派である。

上司にとってかわいい部下とは、使い勝手のいい部下である。ちょっと困ったときに気軽に声を掛ければ最優先で仕事を引き受けてくれる長時間在社している部下なのだ。
 特に30代前半くらいまでは、たとえ非効率な働き方であっても、「本人の成長のためだ」と好意的に受け止められる。
 多くの自己啓発書には「思いっきり働いて、数多くの無駄や失敗を経験することは必要なことで、労働時間の概念に縛られた働き方はすべきではない」と書いてあるし、上司も経験上「その通りだ」と考えている。

ただし、そういう評価は35歳を超えた辺りから逆転する。
若手・中堅と見なされている間は「よく頑張っているな」という評価になるが、担当課長レベルの中高年になってくると、こういう評価になる。
 「いつまでやっているんだ。何年この仕事をしているのだ」「生産性が低いやつだ」
 しかし、これは決して理不尽な話ではない。ほとんどの日本企業は経験年数とともに給与が上昇していく人事制度運用をしている。
「成果主義」と言おうが、「実力主義」と言おうが、真面目に働いていれば昇給させている。

長い勤続年数の積上げで高くなった給与は、課長級であれば時給に換算すると3000円は超えている。
 本人は若い時のパフォーマンスを維持するために長時間労働で何とか辻褄を合わせようとするが、会社はそんなことは理解しない。会社は若くて単価の安い伸び代のある人材には、残業代を投資と考えるが、中高年で単価の高い社員の残業代はコストと捉える。

かくして若いころに長時間労働で得た高評価者は、中高年になって働き方を変えなければ“残業代稼ぎ”というレッテルを貼られることになる。

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