「宝くじで稼ぐ」のがパチンコよりも困難な理由 競馬やオートレースの「還元率」を一挙掲載

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先ほどギャンブルについて、参加者全体の収支がつねにマイナスになるゲームなので「マイナスサム」になると説明しましたが、マイナスにはならないまでも、参加者全員の利益や損失を足し合わせるとつねに収支がゼロとなるゲームのことを、「ゼロサム・ゲーム」と呼びます。

短期的で投機的な投資というのは、マイナスサムにこそなりませんが、勝った人の利益は負けた人の損失とほぼイコールですから、限りなくゼロサム・ゲームに近づいてきます。おまけに短期的な投資の場合、株価の上下は偶然性に左右されやすくなりますので、この点においてもギャンブル的です。

つまり、短期的な株式のトレードは、長期的な投資に比べてギャンブルに近い存在と考えることができます。この傾向がさらに顕著となるのが、外国為替証拠金取引(FX)やビットコインなど通貨に関する取引です。

ビットコインは「ゼロサム・ゲーム」

通貨の場合、発行されている総量があらかじめ決まっていますから、市場参加者全員の利益や損失を足し合わせると、ちょうどゼロになります。

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FXやビットコインの手数料は、ギャンブルの胴元の利益と比べればかなり安いですが、ゲームそのものがゼロサム・ゲームとなっており、この点において株式投資とは大きく異なります。さらに短期的な取引になると、偶然性に左右される確率が高いですから、FXやビットコインの短期取引は、かなりギャンブルに近くなっていくと考えてよいでしょう。

少々理屈っぽくなりましたが、ここまで細かい定義を覚えていなくても、世間一般においてギャンブル性が高いと思われている投資対象は、実際にそうである可能性が高いといってよさそうです。投資すること自体にはそれほど手間はかかりませんから、不労所得レベルが高い収益源ですが、投機的な投資はあまりお勧めできません。

加谷 珪一 経済評論家

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かや けいいち / Keiichi Kaya

仙台市生まれ。1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在、「ニューズウィーク(日本版本誌)」「現代ビジネス」など多くの媒体で連載を持つほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。著書に『新富裕層の研究』(祥伝社新書)、『戦争の値段』(祥伝社黄金文庫)、『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『縮小ニッポンの再興戦略』(マガジンハウス新書)など多数。オフィシャルサイト http://k-kaya.com/

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