家を買わない「賃貸生活」向く人向かない人の差 賃貸のメリット・デメリットをいま一度整理

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賄えない見通しであれば、退職後の住居費を抑えたり(家賃負担の軽いところに引っ越すなど)、退職金や貯蓄を取り崩したりといった、何らかの工夫が必要になります。

その工夫の1つとして、賄えないと判断し、一生涯の住居費を前倒しで払う意味合いで、退職前の完済を目指して住宅購入に踏み切った人も多く見かけます。賃貸生活を続けるうえで、貯蓄を毎月取り崩す必要があるなら、退職後25年分(65~90歳)を退職金やこれまでの貯蓄の取り崩しで賄えるか早い時点で、一度試算してみるのがお勧めです。

具体的な自分の年金見込額を調べるには、「ねんきん定期便」を基にして計算するのが早道です。簡単な計算方法や年金見込額の調べ方などは、『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』に掲載しています。ご興味のある方はご覧になってみてください。

シニアの賃貸物件探しは大変!

一方、高齢者が住まい探しをしたものの、なかなかいい物件が見つけられないというシーンをテレビドラマなどで見かけますね。実際のところ、高齢になると賃貸物件は借りにくくなります。その理由の1つは「連帯保証人」です。日本で部屋を借りるときには、原則として老若男女問わず、誰かに連帯保証人をお願いする必要があります。

賃貸の連帯保証人には、単に収入があればよいわけではなく、その物件の家賃に見合う支払い能力が求められます。年齢や勤務先、年収などを所定の書類に記入して、それを証明する書類や実印の印鑑登録証明書なども提出してもらう必要があります。となると、身内以外の人には頼みにくく、引き受け手もいなさそうです。

このため、若い人が家を借りる際には、連帯保証人には現役で働いている親などがなるのが一般的です。そして、逆に、高齢者の親が家を借りる場合は、就労収入のある子どもに頼むのが通常です。もしも、子どもがいない場合には、甥や姪にお願いすることもありがちです。

家賃保証会社を使えば、連帯保証人を不要にしてくれる物件は増えてきてはいますが、実は、借り主が高齢者の場合は、親族などの連帯保証人を立てたのにもかかわらず、それとは別に保証会社の利用を義務づけるケースが2010 年ごろから増えています。日本賃貸住宅管理協会の調査(平成26年度)によると、貸主の60%は高齢者に対して拒否感を抱いているようです。

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