働く女性の5割超「フルキャリ」を活かす方法 男性管理職が「女性部下の育成」に戸惑う理由

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筆者は、現代の女性の部下をマネジメントするうえでカギとなるのは、このフルキャリの存在だと考えています。

少子高齢化を背景とし、生産年齢人口がますます減少していくことは、もはや避けられない日本の未来であることはさまざまな識者が指摘をしています。日本の企業が事業活動を維持し、成長していくための最重要課題は人材の確保ですが、その状況が今後抜本的に解消することは期待できません。

人材の「量」の確保もさることながら、人材の「質」の向上も急務です。雇用した人材一人ひとりのパフォーマンスをできる限り最大化し、組織としてのパフォーマンスの総和を最大化することこそが、今後の日本企業、ひいてはわが国経済の成長の維持、拡大のカギを握るからです。

わが国においては、人材の「量」を確保するという意味で、ますます女性社員の比率は高まるでしょう。そしてその多くが、ライフイベントにも積極的に取り組みたいとするフルキャリになっていきます。

続いて多いのが家庭やプライベートを優先するゆるキャリです。従来のように、家庭やプライベートによって就労制約がある女性社員の仕事を、家庭やプライベートを大きな制約とせず働ける人で十分にカバーできる時代ではもはやありません。

「フルキャリ」を活かすマネジャーが会社を救う

こうした構造的問題を踏まえれば、これからの日本企業にとって、フルキャリだろうと、ゆるキャリだろうと、自社の個々のパフォーマンスを極力最大化する戦略こそが、成長戦略そのものになることは明白です。

筆者は、中でも、仕事への高い意識を持っていながらも、ライフイベントにも積極的であるがゆえに、従来の環境では必ずしもパフォーマンスを最大化できてこなかった、つまりパフォーマンス拡大の伸びしろが大きいフルキャリに着目しています。

個々のフルキャリのパフォーマンスをできるだけ最大に引き出すことができれば、組織のパフォーマンス総量は確実に増えると考えているからです。

会社という単位だけでなく、部や課といったチーム単位でも同じことがいえると思います。チームの女性比率は今後ますます高まっていくでしょう。

チームの中のフルキャリ部下に対し、彼女たち特有の高い仕事に対する意識をできるだけ確実にパフォーマンスにつなげ、活躍を最大化できれば、チームのパフォーマンス総量は最大化します。あなたが率いるチームの目標達成可能性は高まるでしょう。

人材不足時代において、従来の環境では必ずしもパフォーマンスを最大化できてこなかったが、パフォーマンス拡大の伸びしろが大きいフルキャリ一人ひとりのパフォーマンスを最大化できるマネジャーこそが、チームや組織の成長を牽引する、これからの組織にとって必要不可欠な存在なのです。

武田 佳奈 株式会社野村総合研究所未来創発センター上級コンサルタント

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たけだ かな / Kana Takeda

2004年、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程を修了。同年、株式会社野村総合研究所に入社。以来、官公庁の政策立案支援、民間企業の事業戦略立案や新規事業創造支援などに従事。2018年4月より現職。専門は、女性活躍推進や働き方改革などの企業における人材マネジメント、保育や生活支援関連サービス産業など。著書に『モチベーション企業の研究』(共著、東洋経済新報社)、『東京・首都圏はこう変わる! 未来計画2020』(共著、日本経済新聞出版社)がある。

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