働く女性の5割超「フルキャリ」を活かす方法 男性管理職が「女性部下の育成」に戸惑う理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

筆者は、今後、女性の部下をマネジメントするうえで重要なのは、働く女性の中に、出産や子育てにも積極的に取り組みたいが、仕事でも周囲の期待に応えたい、自身のキャリア形成にも前向きに取り組みたいと考える人が増えていること、そしてそのような働く女性の思考や行動特性を理解することだと考えています。

これまで一般的に、働く女性は極力、家庭やプライベートの都合を仕事の制約にせず、男性と対等に、仕事での成功やキャリアアップを追求したいバリキャリか、家庭やプライベートの時間を確保することを優先し、それが可能となる範囲で仕事をするゆるキャリかといった二元論で語られてきました。

実際のところは、日本企業のこれまでの職場環境が、彼女たちに二者択一を強いてきた結果ともいえるかもしれません。

「フルキャリ」という第3の働き手

少し古い調査にはなりますが、労働政策研究・研修機構が2014年に発表した調査(男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果⑵―分析編―2014年3月)によると、男性管理職の約80%が子どものいる既婚者であるのに対し、女性管理職のうち子どものいる既婚者は約30%にとどまっていました。

また、未婚の男性管理職が10%未満であるのに対し、未婚の女性管理職は40%を超えていました。

結婚することや子どもを持つことを希望するかどうかは個人の選択であり、希望したとしてもさまざまな事情で実現に至らないこともあるため、一概にはいえませんが、これまでのわが国の企業において、女性は男性に比べて、結婚や出産・子育てとキャリアアップを同時に実現することがいかに難しかったかを振り返るには十分なデータだと思います。

一方、近年、プライベートでは結婚も出産もして、家事や子育てにも積極的に取り組みながら、仕事でも、周囲の期待に応える成果をしっかりと出して、仕事を通じて少しでも自分を高めていきたいと考える女性が増えています。

筆者は、このように、家事や子育てでも、仕事でも、貢献と成長を目指し、二者択一ではなく、双方に同時に取り組み、実現したいと考える人を、従来のバリキャリ、ゆるキャリのどちらでもない新しいセグメントであるとして、フルキャリと定義しました。

従来のように、結婚か仕事か、子どもか仕事かというように、どちらか一方を選ぶ、もしくはどちらか一方に重きを置くのではなく、理想的にはどちらも「Fulfill したい(全うしたい、目標を成就させたい)」と考えているのがフルキャリです。

そうであるがゆえに、時間的にも、肉体的にも、精神的にも、「Full(あふれるほどいっぱい)」になりやすいという特徴を持ちます。こうした特徴を踏まえて、筆者は彼女たちを「“フル”キャリ」と名付けました。

筆者が行った女性5454人を対象に実施したアンケート調査によると、働く女性の50.4%が自分はフルキャリだと回答しています。ちなみに自分はバリキャリだと回答した人は13.5%、ゆるキャリだと回答した人は36.3%でした。

次ページ「フルキャリ」の戦力化がカギに
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事