スキルギャップは、企業の収益にも打撃となりえます。例えば、製造業について考えてみましょう。デロイトなどの調査によれば、熟練した技能人材の不足で、アメリカの製造業のGDP(国内総生産)は2028年までに最大4540億ドル減るとされています。
しかし、多くの企業は、この状況の切迫性を理解していません。スキルギャップははるか遠い未来の、漠然とした脅威で、「失業率がこれほど低いのだから、問題はないはず」と考えています。
必要なスキルを持つ従業員にいてもらうには
失業率が低いのは、雇用統計が失業中のアメリカ人の数を極めて控えめに算出していることにあります。経済メディア、クオーツの報道によると、2018年6月時点での労働力率(就業年齢の人口に占める、就労中または積極的に仕事を探している人の割合)は63%でした。この水準は、女性労働者がはるかに少なかった1970年代末とほぼ同レベルです。
つまり失業の問題は、雇用統計が示唆するよりもはるかに大きく、失業者の多くは仕事を探すことすら諦めている可能性があるのです。この原因は失業者が、有効な求人として求められているスキルを持っていないためだと考えられます。
必要とされるスキルを持った有能な人材を探し、定着させることは、企業にとって必須項目です。しかし、ビジネスの変化が加速するなか、こうしたことはますます難しくなっています。それではいったいどうすればいいでしょうか。
政府、大学、企業、従業員すべてが、この問題を解決するために協力するのが好ましいのですが、すべての関係者が、必要となる方針や慣行を推し進める力や意思を持っているわけではありません。一方、この問題は非常に重要であるため、誰かが引き受けてくれるのを待っているわけにもいきません。待っているだけでは、取り残されてしまいます。
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