総合商社ではほかにも三菱商事が4位とトップ10に入り、三井物産も20位にランクインしているが、学生のコメントを読むと、伊藤忠商事に対する難関度の評価ほど明確ではないように感じる。
ただ、伊藤忠商事への評価が昔から高かったわけではない。10年ほど前までは、三菱商事や三井物産のほうが人気が高かった。とくに三菱商事が高かった。今もこの2社を支持する声はあるが、伊藤忠商事に比べると、かなり少ない。
三菱商事は、「トップ・オブ・ザ企業」(京都大学・文系)、「内定をもらった先輩が抜群に優秀な人だったから」(東京大学・理系)、「東大閥のイメージがあるから」(大阪大学・理系)と、今でもエリート企業だと考えられている。
三井物産に対しては、「優秀な友人が就職したから」(大阪大学・理系)、「お会いした社員の方が皆優秀だったから」(横浜国立大学・文系)と人を評価する声が目立つ。「人の三井」はここでも表れている。
航空・広告も上位
今回の調査でも、エアライン系2社がトップ10に入っている。全日本空輸(ANA)は2位(文系57人、理系20人、計77人)、日本航空(JAL)は7位(文系19人、理系7人、計26人)。人数は77人対26と3倍の差があるが、両方とも「大企業」「有名」「人気企業」「募集数が少ない」「倍率が高い」「英語」という単語が目立つ。
近年のエアライン系の就職人気は高いが、今回調査のコメントを見てもイメージ就活の雰囲気が強いように感じる。
広告代理店にも憧れる学生は多いが、採用数が少なく狭き門だということは周知の事実。今回調査では電通が3位(文系42人、理系12人、計54人)、博報堂は5位(文系21人、理系10人、計31人)に入っている。
両者は就職人気ランキングの常連企業だが、人気は電通がいつも上だった。しかし、2015年12月に東大出身の女性新入社員が自殺し、その原因が長時間労働やパワハラと報じられて、ブラック企業という烙印を押されてしまった。そして就職人気も下がったが、今回調査を見ると、難関企業という認識は依然として強いことがわかる。
また、かなり多くの学生が自殺事件を知っており、「東大」「エリート」「激務」というイメージを抱いている。
「激務なイメージがあるから」(電気通信大学・理系)
「エリート集団のイメージがあるから。過労死問題があってもエントリーしてくる強い学生を採用すると考えると、優秀な学生が集まってくると思った」(早稲田大学・文系)
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