アップル「環境配慮」が日本でも認められたワケ リサ・ジャクソン氏「バカげたアイデア」とは

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最後に付け加えたのは、日本を含む部品製造において、すでにクリーン電力100%活用やリサイクル素材の活用が進んでいることだ。ジャクソン氏はこれらが、アップル自身の手ではないところで実現できたことを、「すばらしいことで、われわれがやりたかったこと」だと締めくくった。

スティーブ・ジョブズ時代のアップルは、秘密主義を貫きながら、世の中にあるコンピューターをはじめとするテクノロジーを、「デザインで再定義し、より正しい姿を与える」手法によって注目を集め、iPhoneで大成した。そこには、英国出身の工業デザイナー、ジョナサン・アイブ氏の才能を見極め、絶大な信頼を寄せたジョブズ氏の一貫した「デザイン主導」による製品開発が光った。筆者はこれを、「ジョブズ=アイブ時代」と定義している。

クックCEOに引き継がれるエコの概念

では現在のティム・クック氏をリーダーとするアップルはどうだろう。コンピューティングの概念やデバイスのデザインなどは、ジョブズ=アイブ時代に実現してきたことを継承している。そこにサービス展開とともに、環境への取り組みによって、圧倒的な差別化を生み出しつつある。

これは環境対策が進んでいるというだけではなく、ジャクソン氏が指摘するように、旧製品の価値の維持など、ユーザー層が大幅に拡大したiPhoneを、より多くの人に使ってもらうことで、サービス部門という新しいビジネスの拡大の基盤を作っている。

そのため、現在のアップルを「クック=ジャクソン時代」と定義してもよいのではないか、と考えている。クリエイティブを発揮する場所が、製品の品質を高めるためのデザインから、環境を含むビジネス全般の生態系全般に及んでいるからだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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