意外と多い「パン屋」の食品ロスは減らせるか

「余ったパンを売る」という新ビジネス

東京・千駄木にあるパン屋「パリットフワット」では、パンが余った際、こうしたパンのセットをロスパンとして販売している(撮影:今井康一)

あなたは、パン屋にいつ行ってもたくさんの種類のパンが並んでいることを、当たり前と思っていないだろうか。しかしそれは、閉店後にたくさんのパンを捨てることを意味しているのかもしれない。昨今、食品ロスが大きな問題となっているが、実はパンはロス率の高い食品の1つなのだ。

こうした中、パン屋のロス削減を助けるサービスが注目を集めている。ベンチャー企業のクアッガが2018年12月に始めた「rebake(リベイク)」がそれだ。このサービスでは、売れ残ったがまだ食べられるパンを「ロスパン」と名づけ、インターネット通販で客に届けるフードシェアリングサービスで、現在、北海道から沖縄まで全国約100店のパン屋と、約7000人の消費者の会員が登録している。

ロスパンを2割以上値引きで販売

リベイクでは、数日持つ食パンやカンパーニュなどのロスパンを何個か組み合わせて2割以上値引きし、2000~3000円で販売。客への発送は、注文を受けたパン屋が行う。会員は商品代と送料をクアッガの口座に振り込み、クアッガは商品価格から15%の手数料を引いてパン屋の口座に振り込む。4月には1カ月で800セットが売れたという。

リベイクに参加する東京・千駄木のパン屋「パリットフワット」の店主、山崎香世氏は「余るパンの量や種類、私の繁忙度によって、いつ出せるかわからないので、いつ送ってもいいシステムは、店側にとっては保険のようなもので楽です」と語る。

同店は山崎氏と、時々入るスタッフ1人で回す。パンの材料は、国産小麦や有機栽培の砂糖、平飼い卵など、安心できる材料ばかり。全粒粉パン、ヨモギやカボチャを練り込んだパンが中心で、カスタードクリームなどを使う通常の菓子パン・総菜パンやサンドイッチは置いていない。

ヨモギやカボチャを練り込んだパンが人気(撮影:今井康一)

「良質な材料を使っているので、廃棄は出しません。以前は、売れ残ったパンは、冷蔵庫に貯めて、固くなってからスライスし、オリーブオイルと岩塩を振ってから、もう一度オーブンで焼く『カリカリ』という商品にして売っていました。1パック189円と買いやすい価格でもあり、ファンは多いのですが、作るのは手間がかかります」と山崎氏。

雨の日、暑い日など天候条件が悪いと、パンは売れにくい。山崎氏は「毎日作る量や種類は賭けみたいなもの。店を始めて20年経ちますが、勘が外れちゃうこともある」と話す。同店では夏場に1~2割、冬場に5%ほどのロスが出るという。今は、ある程度バラエティーのある商品が残ったときリベイクに出し、それでも残ったものをカリカリにして、全部売り切っている。

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