木村屋の「クリームパン」が売れている必然

袋パンで「食品添加物不使用」に挑んだ

木村屋總本店が手掛ける「シンプルパン」シリーズには、マーガリン、ショートニング、食品添加物の乳化剤およびイーストフードは使われていない(撮影:尾形文繁)

木村屋といえば、真っ先に思い浮かぶのはあんパンだ。明治初期、銀座に店を構えた木村屋は、あんパンを開発したことで日本人がパンを受け入れるきっかけを作った。が、その木村屋は今、「ブリオッシュ風クリームパン」など、コンビニやスーパーで売られている「袋パン」で絶大な人気を得ているのである。

3月に発売したクリームパンは、3月に1日約7000個、翌月以降も1日4000個を販売している。これは、同社の菓子パン類の通常の新製品と比べ、2倍以上の実績である。

木村屋には2つのブランドがある

このクリームパンの特徴はズバリ、ほぼ無添加という点で、商品にはマーガリン、ショートニング、食品添加物の乳化剤およびイーストフードは使われていない。「シンプルパン」と銘打ったこの商品シリーズにはこのほか、「ブリオッシュ風チョコクリーム」「カスターレーズン」「くるみとぶどうのパン」「オレンジとレーズンのパン」「明太チーズ」と5種類ある。どれも袋パンらしからぬあっさりとした味わいだ。

あんパンの代名詞ともいえる木村屋が、なぜ新境地を開拓しているのか。その前に、木村屋の成り立ちについて説明する必要があるだろう。

木村屋には現在、2つのブランドがある。1つは、銀座中央通りの旗艦店やデパ地下の直営店で売る銀座木村屋のブランド。もう1つが、主に首都圏のスーパー・コンビニ向けに袋パンを製造する木村屋總本店だ。売り上げの8割を占めるのが、後者の木村屋總本店である(ちなみに、木村屋總本店は銀座木村屋に2割出資している)。

その木村屋總本店(以下木村屋)が手掛けるシンプルパンシリーズが画期的なのは、機械で大量生産するパンに、不可欠と考えられてきた4つの材料を使っていないことだ。マーガリンやショートニングは価格がバターより格段に安く、扱いやすいことから長らくパンやケーキに使われてきたが、近年は悪玉コレステロールを増加させるなどのリスクを高めるトランス脂肪酸が含まれていることから危険視されている。

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