安易な「せんべろの酒」が日本酒をダメにした 獺祭がフランス進出で大事にする「価値観」
「日本酒は駅近くのガード下の焼き鳥屋が似合う」「せんべろ(1000円でべろべろに酔っぱらえる)」……日本酒業界は長らく、安さを追い求めてきました。
そんなイメージを覆したのが、日本酒業界の常識を破る酒造りで、純米大吟醸酒「獺祭」を売り上げ日本一に押し上げた旭酒造(山口県)。2017年にはパリに世界的な料理人であるジョエル・ロブション氏と共同で獺祭が飲めるレストランの開店を予定するなど、日本酒の新たなブランド化にも取り組んでいます。
創業者であり、『勝ち続ける「仕組み」をつくる 獺祭の口ぐせ』の著者でもある桜井博志会長に、その狙いと「モテる日本酒」を目指す理由について聞きました。
「獺祭はフレンチによく合う」と評価した大物料理人
2017年、旭酒造は世界一ミシュランの星をもつフランスの料理人、ジョエル・ロブション氏と共同で「獺祭」が飲めるレストランやバー、カフェなどで構成される複合店舗をパリに出店する予定です。
旭酒造にとっては、海外での初めての店舗となります。フランスの食文化とタッグを組むことで、日本酒の新しい世界が広がり、そこに新しい市場をつくることを狙っています。
フレンチのカリスマであるロブション氏は、獺祭を飲んで、こんな言葉をかけてくれました。「和食よりも私のフレンチのほうが獺祭によく合う」。これは、海外進出に本気で取り組んでいる私たちにとって心強い言葉でした。
獺祭は、パリの市場に合わせて味を変えることなく、日本で売っている商品と同じもので勝負しています。
フランスの国民酒であるワインは、味にかどや偏ったところがあるのが特徴です。そのため、獺祭のようにバランスの取れた味わいを目指し、一見飲みやすい酒については「子どもっぽい」と評する専門家もいます。親切にも「日本酒はもっと『大人』にならないといけない」とアドバイスしてくれた業界人もいました。
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