離別死別者を合計すると、女余り数は760万人を超えます。これは、男余り総数の倍近い数字です。ただし、そのうち85%以上が60歳以上の死別によって独身となった女性がメインです。20~50代での離別死別女余り数は、約113万人です。
それでも、300万人の未婚男余りに対して、113万人の離別死別女余りですから、ここがマッチングすれば、男余りは半減します。あくまで計算上は。
ところが、とくに離婚した女性は、未婚男性とではなく、同じように離婚した男性と再婚するパターンが多いのです。加えて、離婚した男性は未婚女性と結婚するパターンがいちばん多いようです。ただでさえ少ない未婚女性と離婚男性がどんどん結婚してしまうわけです。
前回の記事(『最近の若者は「恋愛離れ・草食化」という大誤解』)でも説明したように、結婚生活に不向きでも恋愛力の高い3割の恋愛強者男性が結婚と離婚を繰り返す「時間差一夫多妻制」が一部で起きています。
未婚化、非婚化は人口構造上の問題
1980~2015年の35年間の婚姻中、初婚夫と再婚妻の組み合わせは全婚姻数に対してわずか6%弱にすぎません。結婚相手の対象を再婚女性に求めたところで、残念ながら、300万人の未婚男が結婚できる道はほぼないといっていいでしょう。
ただし、そんな中1つ朗報もあります。近年、生まれてくる子どもの男女人口差は少なくなりつつあります。そもそも出生数が減っているという現状ですが、2017年の出生時男余り数は約2万3000人(出生男女比104.9)で、これは1907年に次ぐ低い数字です。今後もこうした傾向が続くのであれば、20年後くらいには徐々に男余り現象は解消されるかもしれません。
未婚化、非婚化とは、「恋愛離れ」や「草食化」などという個人の価値観の問題では決してなく、人口構造上の問題でもあるのです。医療の発達に伴う乳幼児死亡率の改善と平均寿命の延びという、一見無関係な事象と密接に関係しています。そして、それは日本だけの特異な現象ではなく、全世界的に共通する「避けられない潮流」なのではないでしょうか。
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