コミュニケーションの基本は、「察する」といった相手に判断基準を任せてしまう表現を避けることが重要です。例えば「ちゃんと準備して」や「後で報告して」といったようなやり取りは具体性がなく、感覚で判断することになるため、受け手によって大きく認識がずれてしまいます。
「後で」を5分後と捉えるか、翌日でもいいと捉えるかは、その時のそれぞれの状況や感覚に左右されてしまいがちで、認識が違うことによって、自分の意向に相手の行動が沿わない場合にイライラを引き起こします。
そういったささいなやり取りが繰り返されることにより、「あいつは使えない」とか「あの上司は自分勝手だ」などの意識が深まり、お互いの信頼関係にひびが入ってきます。すると、組織内では、上から下だけではなく、下から上にもハラスメントが起こりやすい土壌が生まれてしまうのです。
相互理解とコミュニケーションスキルの向上が大切
実際に、私が手がけている研修内容の中でも「気持ちを受け止める聞き方」「行き違いを防ぐ伝え方」は、パワハラ防止に効果を上げています。
部下を持つ管理者だけが必要なスキルではなく、部下側にも必要です。なぜなら、単なるコミュニケーション不全をパワハラと騒ぎ立てたり、義務を果たさずに権利だけを主張するケースが増えているからです。
上司も部下も、お互いに相手に伝わる表現を身に付け、相互理解することが重要です。すれ違いを防ぐやり取り、修正を可能にするタイミングを活かすことが、パワハラに限らず、すべてのハラスメントの防止に必要なのは明らかです。
コミュニケーションスキルの向上こそが、抑止強化につながることを認識していただければと思います。
ある意味、脅迫のようなパワハラ教育の浸透が、新たなパワハラを生まないことを切に願います。
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