「パワハラ防止法」成立を手放しで喜べないワケ 「下から上」のハラスメントにも要注意

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職場でのパワハラ防止を義務付ける関連法が成立しました。パワハラを防止する手立ては、禁止事項を徹底することなのでしょうか?(写真:yamasan/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

職場でのパワハラ防止を義務付ける関連法が、5月29日参議院本会議で成立しました。これまでは、2012年に厚労省から発表されたパワハラ防止の行為類型を基に職場対応を求められていましたが、これにより明確な基準が設けられることとなります。

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「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動」などと明記されるようですが、それに伴い、企業に相談窓口の設置など新たに防止措置を義務付けるなど、2020年春にも施行される見込みです。

今や、ハラスメントは多岐にわたり、○○ハラスメントとすれば、いくらでも造語ができる時代になりました。パワハラという表現をされるなかにも、セクハラ(性的なもの)やモラハラ(精神的に相手を追い詰める見えない暴力)的な要素を含んでいたりすることも多く、○○ハラと限定するのは難しい部分もあります。

ギスギスした職場になりかねない

しかし、職場など上下関係がつねに存在する組織においては、立場の優位性が重視され、パワハラという表現でひとくくりされることも少なくありません。

また、法律などの文言は解釈によって大きく受け止め方が変わってきます。

今までのパワハラ防止指針であった行為類型の1つに「プライバシーに過度に関わること」といったものが含まれているのですが、この「過度」が抜け落ちた形で職場に浸透してしまった感があります。

その影響で、現場では「プライベートに一切関わらないほうがいい」といった意識が極端に強くなり、家族のことや休みの日の出来事を聞くことさえも「躊躇」する、また反対に、そういったことを聞かれることを「忌み嫌う」方が増えてしまいました。

しかし、天気と業務の話しかできないような、お互いのコミュニケーションが希薄で、プライベートな雑談をしないような職場は、問題が起こりやすいのが現状です。

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