「英語が自然にできる子」の親がしていたしつけ 押しつけではなく、共有型の学びが大事

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英語を自然と身につけるのに使えるツールとは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

「わが子に英語を話せるようになってもらいたい」と考えている親御さんは少なくないでしょう。そんな親の気持ちを察してか、世の中には「聞くだけでペラペラに」「ネイティブ教師によるレッスン」「短期間で英語を習得」など、さまざまな英語習得に関する宣伝があります。こうした中、子どもが末永く英語と付き合っていくには、どういう教育が必要なのでしょうか。

6カ月から英語で育てたのに…

「うちの子は生後6カ月から英語で育てたので、3歳になったときには日本語がままならなくなっていました……」と後悔している、英語がとても達者なお母さんに会ったことがあります。

息子が生まれて3年間もの間、彼女は英語で話しかけて育てていました。その結果、息子は日本語でのコミュニケーションが難しくなってしまったのです。このお母さんはさすがに「これではいけない」と気づき、それからは息子を日本語で丁寧に育てるようにしたそうです。

英語は単語や文法などの知識を知っていれば、話せるようになるわけではありません。英語が話せるようになるには、まずは母語できちんと物事を考えられるようにならなければなりません。

「日本語で考えるなんてできるわよ」と思うかもしれませんが、今の子どもたちは、日本語できちんと理解したり解釈したりすることができなくなっていて、文部科学省もその点は課題と捉えています。ではどのようにすれば、母語できちんと物事を考えられるような子どもを育てられるのでしょうか。

発達心理学者の内田伸子氏(お茶の水女子大学名誉教授)が行った調査によると、言葉の成長には親のしつけのスタイルが影響しているということです。内田氏によると、「共有型しつけ」を受けている子どものほうが、「強制型しつけ」を受けている子どもよりも語彙力が高いということでした。

ここでいう共有型しつけとは、子どもと会話のチャンスを多くしたり、一緒にさまざまな体験をしたりするなど、親子でのふれあいを大切にする育て方です。反対に強制型しつけは、親の考えを子どもに押しつけ、子どもができない場合は罰を与えたり、責め立てたりし、ときには力で抑え込むこともいとわない子育ての仕方です。

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