「英語が自然にできる子」の親がしていたしつけ 押しつけではなく、共有型の学びが大事

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あるとき、「うちの子が『フーツリピンオーマイブリッ』と、怖そうな顔をして大きな声で言っているけど、何のことでしょう?」と4歳の男の子のお母さんは不思議そうに話してくれました。彼はアメリカの『THE THREE BILLY GOATS GRUFF』、日本語でも『三びきのやぎのがらがらどん』というタイトルで有名な絵本の中の英語を発していたのです。

北欧民話であるこの絵本の中には、トロルの”Who’s that tripping over my bridge?”(だれだ、おれのはしをがたことさせるのは?)というセリフが繰り返し出てきます。お母さんはそれがわかった途端、「ただ聞いているだけなのに、自然な英語を口にすることができるんですね!」と驚きながらもうれしそうでした。

「英語の音」を体感する重要性

子どもの英語の発語は何よりも自然であることが重要です。子どもは何度も聞いた母語の歌を口にすることがありますが、面白い音、面白いリズムの歌を好んで口にしようとします。英語も同じです。ふだん自分の言葉にはない音を子どもは面白がって口にするのです。

子どもの発音がクリアでなくても指摘などせずに、そのまま子どもの好きなように発音させましょう。決して「発音が違うんじゃない?」「ほら英語を言ってみて」などと、子どもの発語の意欲を削ぐようなことを言ってはいけません。

英語には日本語とは異なるリズム、強弱、アクセントがあり、それらを自然に見つけられると、将来リスニングやスピーキングで役立ちます。耳で聞いて英語を身に付ける重要なポイントは、意味や文法ではなくそのような英語の音を体得することです。

子どもは自分が耳で聞いた音を口から発し、母語の場合も、喃語の時期を経て段々と言葉がクリアになっていきます。そのような発達段階で英語の発音の間違いを指摘されると、子どもは言葉を発さなくなってしまいます。母語である日本語も外国語である英語も、あくまで共有型しつけで育てていくことが重要なのです。

幼い頃から絵本などを使用して共有型のしつけで育ち、豊かな母語を身に付けると、子どもは言葉を自分で思考して身に付け、同じように英語も自ら取得できるようになります。その際に英語絵本が効果的といえます。

もしお子さんに英語を身に付けさせたいと考えるなら、幼いときから英単語ばかりを学ばせたり、簡単な英語が話せることに一喜一憂したりせずに、お子さんと向き合った子育てをしてみてはいかがでしょうか。そのほうが親子の豊かな時間となり、ひいては母語でも外国語でも言葉を自由に操って生きていける人間に成長することでしょう。

木原 竜平 ラボ教育センター 教育事業局長

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きはら りゅうへい / Ryuhei Kihara

1987年、筑波大学卒業、ラボ教育センター入社。東京、名古屋、大阪にて営業、指導者研修を担当。2002年より東京本社にて、外国語習得、言語発達、異文化理解教育について専門家を交えての研究に携わる。日本発達心理学会会員。日本子育て学会会員。ラボ・パーティは1966年「ことばがこどもの未来をつくる」をスローガンに発足し、2016年に50周年を迎えた子ども英語教育のパイオニア的存在。
 

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