ラーメン名店「集結エリア」が密かに抱える難題

東京はじめ近年各地で増加中だが撤退も多い

東京都内にはこれら以外にも、複数のラーメン店を一定の場所に集め、グルメゾーンとして名前を付けて展開しているケースがある。ざっと挙げてみよう。

品達品川(品川)
品達羽田(羽田空港)
東京ラーメン国技館 舞(お台場)
秋葉原拉麺劇場(秋葉原)
御徒町ラーメン横丁(御徒町)
ラーメンスクエア(立川)
らーめんたま館(立川)

お手本にしているのは、1994年に世界初のラーメンテーマパークとしてオープンした「新横浜ラーメン博物館」だろう。新横浜ラーメン博物館には現在、全国から8つの有名ラーメン店が出店している。東京以外の地域でも同じように複数のラーメン店が一定の場所に集まっているケースは、全国でみると約30カ所にも上っている。

ラーメンに限らないが、1つの料理ジャンルのお店を一定のエリアにまとめることは、特定ファンはもちろん、観光客をはじめとして一般的なお客への訴求力を高められる。お目当てのお店がなくても、「あの料理を食べたいので、この辺りのエリアへ行けば何かいいお店があるだろう」というわかりやすさがある。

例えば東京の月島近辺に「もんじゃ焼き」、栃木・宇都宮の中心市街に「ギョーザ」のお店が集積しているのは、同じ理屈だろう。複数店の中から選ぶ宝探し的な楽しさもあるし、場合によっては2店以上をハシゴできる。

人気店が行列で入れなくても、お目当ての料理を出しているお店はほかにもある。これも含めて、一見のお客の中には「次は別のお店で食べてみたい」と考える人もいるだろうし、そうした動機がリピーター獲得にもつながる。

1つのエリアに複数店舗を誘致するメリットとは

ラーメンの場合は、その多様性が複数の専門店を1カ所にそろえるメリットになるだろう。一口にラーメンといってもスープ、麺、具材それぞれのバリエーションが多く、各店ごとに一目でその違いがわかりやすい。「札幌味噌ラーメン」「博多豚骨ラーメン」といった各地で特徴のあるご当地ラーメンも合わせて、さまざまなラーメン店をひとまとめに誘致でき、わかりやすさや集客力、話題性などを高められる。

ラーメン、とくにその専門店はさまざまなジャンルの飲食業態の中で、相対的にお客の回転率が高いのも、複数店を集める特徴の1つになる。1杯のラーメンを頼んでそれを食べ終えたら、すぐに出て行くお客が多く、レストランや居酒屋などのように複数の料理やドリンクを頼んで長居しない。

その分、客数が多く稼げるのでSNSなどでの口コミ効果も高くなる。1つのエリアにラーメンの名店を誘致することでその知名度や人気で集客し、その周辺の経済効果を高めている例もある。

ただし、うまくいっているケースばかりではない。ラーメン評論家・山本剛志氏の調査によれば、こうしたラーメン専門店を一定エリアに集めた取り組みのうち、これまで全国52カ所でそれをやめたという歴史がある。

かつては渋谷や池袋などで有名ラーメン店が点在するエリアもつくってみた例があったが今はなくなっている。今、残っているのが全国で30カ所程度とすれば、むしろ成功が難しい取り組みとも言えるかもしれない。

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