32歳「元専業主婦」の彼女がのめり込む書く現場 一時は編集長に、世界を旅しながら綴っていく

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「夫を日本に置いての3カ月長期旅行です。あまりにも身勝手だから、出発する前に、夫に

『離婚するという選択肢もあるかもと思っている』

と声かけました。すると夫は

『俺はいちばんの理解者でいたいし、応援したい。帰ってくるのを待っていたい』

海外での伊佐さんの写真(写真:伊佐知美)

と言ってくれました。

『ありがとう!! じゃあ行ってきます!!』

と言って晴れ晴れとした気持ちで旅に出ました。でも、帰ってきたときにはやっぱり関係性は保てていなかったですね。結果的に離婚しました」

正直、仕方がないと思う部分はあった。メディアの仕事を続けるうちに、会社で堅実にキャリアを重ね続ける夫と、折り合いがつかなくなってきているのも事実だった。

それまでは夫と共に住んでいたが、離婚後は家を出た。

「ホームレス」状態で旅路へ

部屋にある自分に必要なものだけ集めたら段ボール3箱だけになったので、それは実家に送った。残りはスーツケースとリュックに詰めて、後は処分してくれるよう頼んだ。

「旅の一時帰国中の出来事ですから、

『家なくてもいいか?』

って思っちゃったんです。住民税は払わなければならないと思って実家を本籍にしましたけど、自分名義の家はありません。いわば、ホームレス状態です(笑)」

そして傷心のまま、オーストラリアへの片道切符を取り旅立った。

伊佐さんの旅のスタイルは、あまりひとところに落ち着かない。3日に1度は違う町や国に行くのは当たり前だ。

「ルートフェチなんです。『チェコのプラハから、オーストリアのウィーンにバスで3000円で行ける』とか知っちゃうと、『そんなに安いなら乗らなくちゃ!!』ってなっちゃうんです。旅好きの人にもあきれられます」

そんな目まぐるしい旅をしながら、日本から持ってきた仕事をバリバリとこなす。

ただミャンマーやタイなど、Wi-Fiの弱い国では写真を送受信するのが難しい。電話もとぎれとぎれになる。移動の間をぬって細切れの時間を作るので、長文のルポを書くのはなかなか苦労する。

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