「悩みに答えるノート術」が世界中でウケる理由 NY生まれ「バレットジャーナル」とは何か
デジタル時代にもかかわらず、世界中でファンが誕生しているノート術がある。「Bullet Journal(バレットジャーナル)」と呼ばれる箇条書きのノート術だ。考案したライダー・キャロル氏は、「自らのために考えたノート術が世界的にこんなに受け入れられるなんて信じられない」と驚きを隠さない。
いまやネット上にコミュニティがあり、利用者が自らのノートををSNSでシェアするほどで、ライダー氏が登場するイベントにはファンが押し寄せる。4月下旬、東京で開かれたイベントにも、女性を中心に利用者や使ってみたい人が詰めかけた。「皆さんラッキーです。中国では1000席が“秒で”売り切れたそうですから」。対談相手の女性が参加者たちに伝えると、会場からため息が漏れた。
バレットジャーナルって何だ
そもそもバレットジャーナルとは何なのか。「バレット」とは、弾丸という意味もあるが、メモの冒頭などにつける「・」の意味もある。このノート術では、日、月、翌月以降などのページを設け(それぞれデイリー、マンスリー、フューチャーログと呼ぶ)、「・」だったらやらなければいけない作業、「×」は終わった作業、「*」は優先事項など、記号を駆使して、予定ややらなければならいこと、目標などを書き込んでいく。それぞれがどこにあるかわかるように、ノートの冒頭に「インデックス」と呼ぶ目次を設けるのも特徴だ。
たとえば、ある日のログでは「・太郎とランチ、×山田さんに連絡、*ヨガをキャンセル」といった具合に書き込む。ほかのノート術と違うのは、予定だけでなく、ひらめいたことや目標なども書き込んでいくことで頭の整理を促す点だ。できなかった予定などは、これもマークを使ってほかの日などに「移動する」という技もある。「旅行ログ」や「感謝ログ」など利用者が自ら項目を設けたりと基本を守れば、使い方は柔軟性が高い。
うっすら気づいた人もいるかもしれないが、ライダー氏のノート術はどこかデジタル的なところがある。実際、ライダー氏はデジタル・プロダクトデザイナーで、現在はニューヨークノデザイン会社でアプリやゲームの開発に関わっている。そんな同氏がなぜアナログなメソッドにこだわるのか。それには、同氏の小学校時代を振り返る必要がある。
発達障害を持つライダー氏は、子ども時代、「いま」に集中することが得意ではなく、やらなければいけないことがどんどん山積みになっている状態に陥っていた。どうすれば、ほかの生徒のように集中したり、頭の中を整理できるようになれるのか――。スケッチブックの試行錯誤を繰り返し、1冊のノートにまとめたのがバレットジャーナルの始まりだ。
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