「悩みに答えるノート術」が世界中でウケる理由 NY生まれ「バレットジャーナル」とは何か

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「内なる自分と向き合う」となると、ノートを書くのにとんでもない時間がかかるように思えるかもしれないが、ライダー氏の場合、ノートに向かうのはそのとき抱えている課題に応じて、1日5分~30分程度だという。ただし「毎日こうやって自分自身の日常を振り返ったり、向き合うことが大切だ」(ライダー氏)。効果を感じるには、2、3カ月続ける必要があるという。

前述の通り、ログやインデックスを設ける、特定の記号を使うなど基本的なルールはあるが、あとは利用者の目的に応じて好きなように使えばいい。

たとえば、ある女性は持病を持つ子どもについて、ログを設けて、子どもの健康状態や医者の電話番号、薬などに関する情報を記録していた。あるとき、子どもが学校でひどい発作を起こしてしまう。同じ学校でボランティアとして働いていた母親は、ショックのあまり話すこともできなかったが、バッグに入っているノートから子どもの持病について書いてあるページを切り取って救急隊員に渡した。これが結果的に子どもの命を救ったという。

なぜ人は片づけや整理術に走るのか

インスタグラムやピンタレストで「バレットジャーナル」と検索すると、イラストをほどこしたり、凝った字体で記入していたりと、それぞれが工夫して使っているさまがわかる。どれも手が込んでいるが、「バレットジャーナルの目的はインスタ受けするおしゃれなノートを作ることではなく、自らの目的や課題にアプローチすること。基本はシンプルでいい」とライダー氏はアドバイスする。

『バレット ジャーナル 人生を変えるノート術』(写真をクリックするとアマゾンのサイトへジャンプします)

ところで、目下、アメリカではこんまりこと、近藤麻理恵さんによる片づけ術の番組が大ヒットするなど、「片づけ」や「ミニマリズム」「持たないこと」への関心が高まっている。バレットジャーナルのようなノート術が受け入れられるのも、こうした整理術への関心が高まっている背景があるのだろうか。

「私たちはつねにいっぱいいっぱいの状態にある。絶えず情報が入ってくることで刺激にさらされ、飽きることさえ許されない。さらに情報や刺激の量や度合いは増し続けており、いつ自らのオフボタンを押していいのかすらわからない状態だ。だが、情報や刺激は無限にある一方で、人間の時間やエネルギーには限度がある。片づけや整理術に人々が走るのは、自らのコントロールや落ち着きを取り戻すためなのではないか」とライダー氏はみる。

たった一冊のノートで人生が変わると考えるのは安易だろう。だが、情報を取り込みすぎたり、仕事や家庭のタスクで埋もれそうな人がいったん立ち止まって、頭の中や人生を整理するきっかけにはなるのかもしれない。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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