集中力が続く人と続かない人の決定的な差 あなたには悪い「兆候」が出ていませんか
私はADD(注意欠陥障害)およびADHD(注意欠陥・多動性障害)の専門医です。これまで、医学博士としてハーバード大学で20年以上にわたって講師を務め、また、生涯を通じて集中力と生産性について研究してきました。
私のもとには「自分がもしかしたらADDやADHDではないか」と心配する人が大勢診察を受けに訪れます。彼らが私に会いに来るのは、「何かに集中する能力を失ってしまったから」です。彼らはいつも焦っていて、流れに逆らう舟のように次から次へと仕事に衝突し、前進しようともがきながら「周りに後れを取ってしまうのではないか」と心配しているのです。
そうした人々と向き合う中で、私は、現代社会特有の「環境」によって、本当のADDやADHDと同じような「集中力低下」の状態に陥るケースがあることを突き止めました。拙著『ハーバード集中力革命』でも詳しく触れていますが、それが「ADT(注意欠陥特性)」です。
ハーバード大学の研究でわかった「集中力低下」の正体
ADTとは、私が1994年に作った用語であり、現代の職場環境で徐々に大きな問題となりつつある状態を示す言葉です。この状態は、周りからの絶え間ない要求や誘惑、出来事によって引き起こされ、私たちの頭を耳障りな騒音でいっぱいにします。精神がこの騒音――シナプスのたてる、無意味なけいれんのような音――でいっぱいになると、脳は特定のものに対して安定した注意を向ける能力を失ってしまうのです。
ADTの兆候は、最初は目立たず、しだいにひどくなります。一般的な社会人であれば、不満がいろいろ積み重なるなどして「最近、どうもうまくいかない」と感じたり、職場での1日が予想外の出来事だらけになって明らかに長く感じたり、仕事に追いつくのが以前よりも難しくなったりして、やがて自分の身に起こった変化に気づくものです。
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