なぜ最後にはみな、帝国ホテルを選ぶのか 卵料理からシャワーの水圧まで、圧巻のこだわり

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帝国にしかない笑顔

「オールドインペリアルバー」。カウンターでは席ごとにスポットが当たる

――ホテル業界を取材する一記者として、「最後にはなぜ帝国ホテルが選ばれるのか」というのは永遠のテーマです。立地もよいですが、パワースポットだと言う説すらあります(笑)。

ああ、そうですか、それはありがたいですね(笑)。まあ、場所もありますし。われわれが心掛けているのは、お客様から頼まれたオーダーについては確実にちゃんとお応えする、それへのこだわりです。

先日、お客様から言われてうれしかったのは、「帝国ホテルに行くと、笑顔がある」と。うちをずーっとお使いいただいている顧客企業の窓口の担当役員の方が、「やっぱり定保さん、帝国ホテルに行くと皆さん笑顔で迎えてくれるんだよね」と。

「試しに外資系のホテルに行ったらクールでかっこいいんだけど、全然、笑顔がない。笑わせようと思って一生懸命努力したんだけど、全然、駄目だった」と、おっしゃる。

――ははは(笑)。

顧客の方ですから、確かに「お帰りなさいませ、今日もどうもありがとうございます」ってことでお迎えするんですけど、笑顔でとにかく元気よくお迎えして、あいさつをしようと心掛けているのです。

先ほど申し上げた「さすがの運動」のいろいろな取り組みも、ほかのいろいろなサービスも、ほとんど現場から発案されているんですよ。経営側から「こうしようよ」と、やらせてスタートしたサービスは、ほとんどないかもしれません。お客さまに楽しんでいただこう、お客様が間違いなく滞在して、出発できるようにするためにどうしようかと、つねに現場のみんなが考えて、ずっと代々きていますから。それに対する安心感というか、期待感はあると思います。

――「さすが運動」のきっかけは何だったのですか。

13年前に開業110周年を迎えるにあたり、これから帝国ホテルのレベルをどう上げていこうかと考える中で、いかにサービスのレベルを上げるかが、いちばん重要な課題だと思ったのです。

私は今、(現場を仕切る)総支配人も兼務していますが、経営のヒントはつねにお客様の声にあり、現場の発想にあると思っています。それを全員で共有することによって、レベルをどう上げるかが、私たちの重要な課題です。

(撮影:梅谷秀司)

 

筆者が手掛けた東洋経済オンラインのホテル連載が、電子書籍「1泊10万円でも泊まりたい ラグジュアリーホテル 至高の非日常」(小社刊)になりました。10万円以上するような部屋に泊まりたいと思わせるラグジュアリーホテルの魅力とはいったい何なのか。厳選9ホテルの総支配人たちが大いに語っています。

 

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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