――へえ、すごいですね。
「いやあ、そこまでご覧いただいているとは。すみません、ありがとうございます。よく言っておきます」とお話したりしています。
そういった常連の方は、注文するメニューが決まっています。企業のトップクラスの方でも、ルームサービスを頼む場合は「これ」というものがだいたい決まっていて、何時に持って行けばいいのかだけをお聞きすることもあります。
お客様それぞれのこだわりに対して、サービスがいかに応えられるか、一生懸命に応えるのが、大きなホテルであっても、われわれが目指しているところなのです。
――そうした個別の好みなどを、裏側でどうやって蓄積しておくんですか?
情報は従業員みなで共有するしかないですね。紙などで、「このお客様が泊まっておられます。だから朝、いつものよろしくね」という。盛りつけの量からしても、少し違うと、ご指摘をされるお客様もいますから。
たとえば卵があって、ちょっとしたポテトがあって、周りの野菜をきれいに盛り付けるのがお好きだとすると、「野菜の量がちょっと違うよね」などと言われるんです。これはもう胸にズドンと来るんですね。
おっしゃられたことを忠実にきちっとお出しできれば「ありがとう」とおっしゃっていただける。それをいかに正確に繰り返しできるかだと思います。当たり前のことかもしれませんけれども。
――何度も何度もリピートしてくださるお客さんがいることが大事で、そのお客さんが前に来たときとほぼまったく同じような状態を、いかに再現し続けるか。
そのとおりと思います。たとえばお客様が宴会場へ行って朝ご飯を食べるときにも、同じようなこと、状態、ものを同じような状態で出せればベストなのです。今、一生懸命に取り組んでいるところです。
その人が大阪(帝国ホテル大阪)に行ったり上高地(上高地帝国ホテル)に行っても、いつものレストランと同じようにパッと出せるようにしたいのです。それをいろいろな仕組みを作ってやっています。
まだ100%とは言えないですが、海外のトップ・ラグジュアリー・ホテルも、世界中でそういう情報を共有してやっていらっしゃると思います。
われわれのホテルは3つしかないですが、いかにそれができるかが私の目標であり、究極は、今、提携関係にあるハレクラニ(ハワイのホテル)に行っても同じようなことができれば、いちばんいいと思っています。
931室あるホテルでも、100部屋、200部屋のホテルにいるようなお気持ちになっていただけるようなサービスができていれば、私の目標のひとつはクリアかなと。
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