なぜ最後にはみな、帝国ホテルを選ぶのか 卵料理からシャワーの水圧まで、圧巻のこだわり

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ご自宅にいらっしゃるときと同じだと思うのです。お客様の立場に立って、疲れた1日をいかに、温かいお湯なり、夏であれば冷たいお水できちんとリフレッシュできるかどうか。改修が終わった新しい本館の客室のバスタブは、だいたい2~3分で湯船がいっぱいになります。

客室のシャワー。水圧には総支配人のこだわりが

そうした居住性、快適性、正確性には、ある意味ずっとこだわってきています。それが目に見えないウチのひとつのウリかもしれません。都心の新しいホテルでは水の出具合は問題ないでしょうが、海外ではけっこう感じることが多いのです。

もともとスタートが日本の迎賓館というか、海外からいらっしゃる特にVIPをお迎えするためのホテルですから、客室で長旅の疲れをとっていだだくことにこだわってきた。それにプラスするようにランドリーを始めたり、郵便局を置いたり、ハイヤーを始めたりしているわけです。

昔からお客様に、「セカンドホームに帰ってきたようだ」と、よく言われます。よくいらっしゃる会員の方は、枕の高さがいつも自分のテイストに合っているとおっしゃいます。枕は通常4つ置いてありますが、いつも2つで寝ている方なら、始めから2つにしておく。腰に問題がある方なら、必ずベッドマットの下に、堅い板を入れたりします。

その人のテイスト、お好みに合った態勢を整える。シャワーの水圧も当たり前のことです。私はそんなに出張しないですが、国内で出張する場合でも、やはりひねって水がどれくらい出てくるかなといつも楽しみにしています。なかなか100%これはすごいな、というシャワーには当たらないですね。

――ご自身でもお客さんの感覚で旅行されて、それを帝国で実現できるかどうかですね。

昔は、特にVIPのお客様のご滞在中のお手伝いをする竹谷(年子氏)というおばあちゃんがいました。彼女は清掃が終わったら、まだ水の張っていないバスタブに入って、お客様になった気持ちで周りを見て、汚れが全部落ちているかどうかチェックした。

便器の下部にカビが黒く残っていたりしたら、バスタブに入れば目線が違うからわかるんです。それは会長の小林(哲也氏)も昔からずっと教わっていましたし、私も入社して研修で3~4カ月たたき込まれました。

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