帰国子女はどう生きるべきですか? 【キャリア相談 Vol. 25】

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たくさん本を紹介してしまいましたが、読んだからといってスキルやおカネになるわけではありません。そんな些末な話ではなく、これらは誰にも阻害されない思考の自由度を持つために必要です。世の中で自由なのは自分の頭の中だけです。もしも1冊だけ読むなら、今の時期に『きけわだつみのこえ』を読んでいただきたく思います。よろしくお願いします。

質問者の方は留学予定とのことですが、大学レベルで留学すると日本について、特に豊潤な日本の古典芸能について自分が知らないことに驚かされるものです。歌舞伎や能を観たことがありますか? 学生のうちにちょいと足を延ばしておきましょう。歌舞伎の一幕間席なら好きな幕だけ見ることができて、手軽に安価に雰囲気を味わえます。

時間のある学生のうちなら落語の寄席にも行くことができますし、方々でやっている落語会は2000円くらいです。落語は日本が世界に誇る完成されたまくった独自のスタンドアップコメディです。Youtubeで往年の名演を予習することもできますが、時間があるうちに書を捨てて町に出ましょう。

留学先で「東京オリンピックの予習に“Lost in Translation”って見た?」だけでなく「日本の落語には熊さん、八っつぁん、ご隠居っていうのがいてね」とやれます。ほかには海外で日本の近代について語るために半藤一利の『昭和史』と『日本経済図説』もどうぞ。

日経新聞をどう読むべきか

学生のうちに歯を磨くようにクセにしておくと便利なのは、問題意識を持って日経新聞を読むことと、ランでも筋トレでもワークアウトすることです。

筆者は昔、新人社員に対して「日経新聞の読み合わせ」をやっていました。日経を何人かで読みながら司会である筆者が、「この企業に投資するか?」や「このビジネスにどう絡むか?」といった質問をしていくのですが、今では海外のヘッジファンドで稼ぎまくる元部下が「あの読み合わせの緊張感と発想法で足腰が鍛えられました」と言っていました。

日経も漫然と読むのではなく、問題意識を持って読むべきです。「自分ならどう商売をするのか?」と。ワークアウトは言わずもがな、身体は大事なデバイスであり自分の楽器で兵器です。意識して体調管理を行い、いつでも戦えるようにしましょう。

ご質問にある長期休暇ですが、世界一周旅行に行きましょう。英語に問題がないなら、そのハードルも低いでことしょう。たとえばスターアライアンスの世界一周チケットは約32万円ですから、集中してバイトすればなんとかなる額です。世界一周のよさは、なんとなく地球が丸いとわかることです。少し移動していくだけで、人も文化もまったく違うのでウケます。個人的には中東が違い過ぎて好きです。時間があるうちにぜひ。『世界の宗教がざっくりわかる』を読んで出掛けましょう。

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