何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
【Vol.24】会社の粉飾を知ってしまいました
私には妻と未就学の子供が2人おります。
大学卒業後約8年間銀行に勤め、主に中小企業の法人融資の営業をしていました。30歳になり銀行とはまったく関係ない事業(フランチャイジー)を始めましたが、軌道に乗らず6カ月で終了。今は、銀行員当時の取引先の子会社である通販会社(食品企画販売)に拾っていただきました。
この通販会社はスタートしたばかりで売り上げもまだ立っていません。親会社とはまったく別の業態であり、誰も通販のノウハウを持っておりません。私の任務はとにかく「売り上げを上げること」で、毎日が試行錯誤です。
そんな中、親企業は銀行に対し粉飾した決算書を提示していることが判明しました(私も過去に融資対応しました)。業績は悪くありませんが借り入れがかなり重く、資金繰りが逼迫している様子です。「社員とお客さんを守るため」と親会社社長はあまり悪びれもせず隠し通すつもりですが、いずれ資金に詰まるか銀行にばれる可能性が高いと感じています。
また、その親会社は社長に依存し、社長がいなければ売り上げが立たないリスクをはらんでいます。社長もそのリスクを認識しているため、通販会社を始めました。
私自身、拾ってもらった身ですし、家族がいて、失敗した事業借り入れの返済がある中で、この給与をいただいており、たいへん感謝していますが、そうした会社にいるべきかどうすべきか迷っています。
いずれもう一度起業して成功させたい気持ちがあり、ビジネススキルをアップさせるためにも、ビジネススクールに通う予定です。並行して事業主を対象に「融資・資金繰りコンサル」を空き時間に敢行しようと考えています。
また、心のどこかに「とりあえず安定的な会社に転職して、安心して起業資金を貯めるのもありかな」とも思っています。
最終的に自分でビジネスを作って、家族を養っていくことを目標としております。長文駄文、失礼致しました。厳しいお言葉いただければと思います。
会社員 30歳
恩義を感じるが・・・
黄金色に輝いていた銀杏並木も少しずつ葉を落とし、本格的な冬の足音が聞こえる昨今です。読者の方々も年末の行事に忙しい頃かと思います。筆者も先日、この連載を読んでいるという古い友人に再会し、「塩野君のクセに、って思って読んでる」と言われ、襟とマフラーを正したところでした。
人にどう思われているかが気になって仕方ないチキンな筆者ですが、今回は養うべき家族もあり、今の会社に拾ってもらったという恩義を感じながらも、粉飾を知ってしまったと悩む30歳の方からのご質問に、お答えさせていただきます。
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