本件では考えにくいですが、一般的に粉飾などの企業不祥事において、書類作成や押印などの実務を担当した社員を、刑事事件において捜査当局が描く「絵」の中でパーツとして必要とされた場合、逮捕されたり被疑者になることがあります。自分は大丈夫と思っていても、当局の描く絵によっては、元融資担当者が巻き込まれる可能性は否めません。
人は傷つくまで痛みをわからず、さらに非常に弱い生物なので、いざ不祥事などの事件が起きると、ほとんどの人が心を病みます。病み方のパターンとしては、働いている夫や妻が事件に巻き込まれたり訴訟を受けたりすると、家族は状況が理解できず、情報も入ってこないため不安だけが募り、病んでいきます。
安泰だと思っていた勤め先が、リストラを始めたり倒産したりする場合も同様です。ビジネスパーソンは普段から家族に仕事のことを、何でも話すタイプとまったく話さないタイプに大別されますが、よくあるのは男性で「お前は仕事のことは黙ってろ」タイプの人間が、仕事で事件に巻き込まれたときのほうが、本人も家族も病むものです。最初に情報の非対称性において家族が病み、本人が病みます。「黙ってろ」系おじさんが号泣するのはいつもの風景です。
なぜ命懸けで成功を目指さないのか
先に申し上げたようなイベントリスクを理解したうえで、いちばん大切なものを守るにはどうしたらよいか考えるべきかと思います。現在、質問者の方は新規事業をご担当されているとのことですが、一方でビジネススクールに行きたい、空き時間で「融資・資金繰りコンサル」を始めたい、とおっしゃいます。そこだけお聞きすると、筆者はなぜ目の前の事業を成功させることに命懸けで邁進しないのか? 自分の知識・スキルを今の会社に生かさないのか? という疑問を抱きます。ビジネススクールの修了証書より、事業を成功させた実績のほうが評価されるのは自明です。
厳しいことを申し上げると、非常にリスクの高まった現在の状況において、あなたは青い鳥を追っているように見受けられます。いろいろなことは最悪の事態になってからでは取り返しがつきません。青い鳥を追っていて、最後に家に帰ったらそこで青い鳥が死んでいたということはままあることです。
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