オリンパスの粉飾疑惑、金融庁が12年前に黙殺
財テク失敗で膨らんだ最大1300億円にも上る巨額の損失を、粉飾決算により隠してきたことが明らかとなりつつあるオリンパス。『週刊東洋経済』では、金融庁がその不正の少なくとも一部を、12年も前から把握していたことを示す、極秘資料を入手している。
「1998年12月末現在のSTP──Trust一覧表」。こう題された9枚から成る資料には、金融機関やメーカーなど、企業、団体の名前がズラリと並ぶ。これは損失隠しの驚くべき「顧客リスト」だ。そしてそこには、顧客の1社として、オリンパスの社名が刻まれている。
資料は欧州の証券会社クレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)グループが、99年に金融監督庁(当時)の要請に従い提出したもの。CSFBグループは、企業が有価証券投資などの失敗で抱え込んだ巨額の含み損を簿外に隠蔽する「損失飛ばし」ビジネスを手掛けていた。
金融監督庁は同グループへの検査を通じて、その実態を把握。99年7月に「公益を害する行為」との理由から、当該ビジネスの中核的組織だった「ファイナンシャル・プロダクツ銀行」東京支店に対し、銀行免許取り消しなどの厳しい処分を下した。この検査の過程で、同グループに「飛ばし」を依頼していた60を超える顧客企業、団体の存在が発覚したのだ。
過去に下した“クロ判定”
そのうちの1社であるオリンパス光学工業(当時)の欄には、次のように記載されている。
「契約日:92年1月31日、信託元本額:147億4093万4584円、信託種類:特定金外、スキーム:信託受益権再売買スキーム」