何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
【Vol.23】税理士に安住している自分が嫌です
こんにちは、いつも楽しみに拝読しております。古参の読者です。最近は連ドラの視聴者ばりに隔週金曜日が待ち遠しく感じられます。
本題です。私は、業界最大手と言われているBig4の一角の税理士法人で働く税理士で、特に不満もなく、このまま数十年間働いて、パートナーになる芽がなくなってきたら、独立するんだろうなと思っています。
業界は世界一難解な税法と強力な政治力に守られているという意識が強く、外から言われているほど危機感がなく、私もそれに安住しています。
しかし、よく考えると税理士を目指したのは、その昔、孫正義や江副浩正のような実業家になりたくて、その準備として、学生時代にとりあえず簿記の勉強を始めたのがきっかけです。
30代になり、税理士としてこそこその人生を歩めるようになって、そんなことは忘れかけてしまっていますが、本屋で「ハーバードに留学し、起業」とか「最年少上場」とかいう文字が踊っていると悲しくなります。
最近の本コラムを見ていると、安定志向を勧める論調が多いですが、塩野さんもかつてはリスキーな人生を送り、刺激に満ちた世界を選好されていたと思います。年齢と共にそういうのは興味がなくなるものでしょうか? 仕事を通して自己実現や世界にインパクトを与えるなど、就活生が言いそうな理想はなくなるものでしょうか?
もちろん、今あるものに感謝し、満足していくことはすばらしいことだと思うのですが、まだ青臭さを捨て切れていない未熟者です。
税理士(30代)
就活生時代の理想はなくなるのか
スタバのコーヒーもクリスマスブレンドになり、街にイルミネーションの輝く季節になってきました。街のイルミネーションは翌年のバレタインデーまで続くことが多いので、実は4半期以上は輝いていることになります。筆者のようなおっさんには関係ないですが、若い方たちには楽しいイベントも多いことでしょう。
そんな若者たちと日経平均をイルミネーションが照らす昨今ですが、今回は大手事務所で税理士として満足できる環境に身を置きながら、孫正義氏や江副浩正氏のような実業家になるという夢を忘れられない方から「仕事を通して自己実現や世界にインパクトを与えるなど、就活生が言いそうな理想はなくなるものでしょうか?」とのご質問です。
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