質問者の方は、拾っていただいた親会社社長に恩義を感じているとおっしゃっています。現在の行為や考え方は、本当に恩を返しているのでしょうか? そして本当に守りたいものがあれば、何をやってもどんなに傷ついても守るべきです。それをしなければ残るのは後悔です。
加えて、強がっていた経営トップや上司でも、いざとなれば自分だけ助かるにはどうしたらよいかと画策するのが、不祥事の起きたときのいつものパターンです。それくらい人は弱いものです。
ちなみに大切な人を守ったとしても感謝されるとは限りません。事件が起これば混乱の中で誤解によって、死ぬほど恨まれることもよくあります。それでも正しいと思うことを行えば後悔の量は減らせます。以前にもこの連載で申し上げましたが、筆者の勤務先のCEO冨山和彦は、決断に迷ったらできるだけ短い言葉で家族や友人に説明できるほうを選ぶと言っています。「長い言葉は言い訳が混じるから」と。
質問者の方は現在、非常に中途半端な立ち位置にいると思います。極論すれば、家族を養うことが第一優先なら、どんなに卑怯になってもいいわけです。今すぐ粉飾企業を辞めて、少しでも安定した職につくことも、もちろん選択肢のひとつです。まだお若いことですし、死ぬ気で探せばどんな仕事でもあることでしょう。大事なことなので最後に繰り返しますが、あなたにとっていちばん大切なものは何でしょうか? いつの日かお子様にちゃんとお話しできる行動は何でしょうか? よくお考えいただければと思います。
この原稿を喫茶店で師走の街を眺めながら書いていたら、都合よくジョン・レノンのHappy Christmas(War is Over)が流れてきました。皆様、どうぞ楽しいホリデイシーズンをお過ごしください。
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