今も不良債権を追いかけている
――このテーマを取り上げるきっかけは何だったのですか?
僕は元々、住宅金融債権管理機構と(その後身である)整理回収機構の取材をしていた。当時は山一證券も含めて金融機関の破綻が相次いでおり、僕は(読売新聞の)デスクになってからも、企業犯罪と不祥事の取材を続けていた。住専問題はその中の1つだった。
(新聞社の)経済部でも事件取材に関わらざるをえない人たちがいる。イトマン事件のように、会社を取材していると、事件の深みにはまっていく住友グループがある。会社を取材しながら、犯罪を取材していく人たちが「経済社会部」。
一方で、自分自身は「社会経済部」の人間だと思っている。僕は社会部から入って、経済事件で企業社会のありさまをいろいろ取材することになった。(弁護士で、整理回収機構の初代社長を務めた)中坊(公平、2013年に死去)さんにも何度か会って、中坊さんの手紙を(新聞で)取り上げたこともあった。
『しんがり』を書いた後に、ある人から「今も整理回収機構があるんですよ」と言われた。みんな驚くが、まだあるんですよ。昔、二千数百人だった組織が今三百数十人の組織になっているが、今も存続して、(大阪の不動産会社・末野興産社長で、「ナニワの借金王」と呼ばれた)末野謙一氏を含めて、何人もの人間を追いかけている。
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