今では想像できない「あの時代」の銀行の姿

乱脈融資に反社会勢力とのつながり

銀行と表裏一体だった系列ノンバンクがバブル崩壊後は重荷に

2000年9月、第一勧業銀行のある幹部は記者の前で手を突いた。「今回のこと(資料流出)は記事にしないでほしい」。当時の本誌記事(上写真)の裏側ではこんなことが起こっていた。第一勧銀の融資先であるオリエントコーポレーション(オリコ)が、同行の「自己査定資料」では実質的に債務超過と評価されていたのだ。

バブル崩壊後は、不良債権処理が銀行の経営課題だった。自己査定は門外不出の最重要データで、大口融資先をどう評価するかで銀行の貸倒引当金の額が変動した。第一勧銀が経営トップを送り込み資本関係もあった系列ノンバンクであるオリコの自己査定資料の流出は、ほかの取引金融機関にも大きな影響を与えた。バブル期、銀行と系列ノンバンクは表裏一体で巨額の融資を積み上げていたからだ。

担保至上主義で融資競争が過熱

銀行は1980年代のバブル形成で主導的な役割を演じた。地価や株価の急騰は過剰な信用創造から生み出され、マネーが乱舞していた。

当時の銀行は、都銀であればトップバンク、地方銀行であれば地域ナンバーワンをめぐって融資競争を展開していた。苛烈さを増す競争は、徐々に常軌を逸していった。

「担保至上主義」の下で、特に土地担保融資は急速に拡大した。というのも、それまで地価は右肩上がりが続いていたからだ。

バブルの主役である土地。それを担保に融資をする場合は当然、対象となる土地の評価が行われる。ベースになるのは路線価だが、融資を増やしたい銀行はその担保を過大評価した。「土地担保なら回収不能になることはない」と融資競争に走った。

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